G8首脳会合ワーキングディナー(7月8日)の概要
平成21年7月8日
I.議論の概要
1.イラン
- (1)イラン大統領選挙後の情勢、特に市民の犠牲、言論の抑圧、報道関係者等の拘束・訴追が行われていることについて、各国より強い遺憾の表明があった。
- (2)イランの核開発について、累次の安保理決議に従わずに濃縮活動を継続していることに懸念が示され、中東全体の安定に及ぼす影響につき議論が行われた。引き続き外交的解決策を探ることが確認された一方で、対話の窓は限られており、G8が連帯してイランに対し安保理決議等の遵守を求め、問題解決に取り組むことで一致した。
2.北朝鮮
- (1)麻生総理より、北朝鮮による4月の弾道ミサイル発射、5月の核実験実施は、国際社会の平和と安定に対する重大な挑戦・脅威であり、更に、7月4日に北朝鮮が国際社会の声を無視して弾道ミサイルを発射したことは極めて遺憾である、北朝鮮の核保有は絶対に認めないとの国際社会の姿勢を明確に示すため、G8として断固たる立場で臨むべきことを強調した。
- (2)これに対し、各国より、北朝鮮問題はアジアだけの問題ではないとして、日本の立場を支持するとの発言が相次ぎ、最も強い表現で北朝鮮を非難し、安保理決議1874の完全履行に各国が取り組むことの重要性が確認された。
- (3)拉致問題についても麻生総理より取り上げ、各国よりの支持の下、首脳文書に盛り込まれた。
3.軍縮・不拡散
- (1)各国より、7月6日の米露首脳会談で戦略兵器削減の大枠に合意したことについて歓迎の意が表明された。これを受けて、明年のNPT運用検討会議の成功に向け、国際的な核軍縮・不拡散体制を強化していくことの期待感が示された。麻生総理より、北朝鮮やイランをめぐる厳しい国際環境を改善するためにも、戦略的安定を確保しながら、国際社会が核兵器のない世界に向けて現実的かつ着実に前進していくことが重要である旨述べた。
- (2)CTBTの早期発効に向けた努力や、カットオフ条約の交渉早期開始への支持等、核兵器のない世界のための状況をつくることについて、強いコミットメントが確認された。
4.中東和平
各国より、暴力やテロの明確な拒否及び入植活動の停止を含むロードマップ上の義務の遵守をすべての当事者に要請すべきとの強い意見が表明された。また、対パレスチナ支援をはじめ、中東和平進展のため、G8として協力を進めていくことを確認した。
5.アフガニスタン・パキスタン
- (1)各国より、アフガニスタン・パキスタン両国が参加する地域協力が重要であるとの考えが示された。
- (2)アフガニスタンに関し、本年8月の大統領選挙の成功のため、国際社会が支援を行うことが重要であり、また、長期的な安全や安定のためにアフガニスタンのオーナーシップが重要であるとの点で一致した。また、旧タリバン勢力との和解努力が進められていることを歓迎しつつ、G8としても支持していく旨確認された。
- (3)パキスタンに関し、G8として、パキスタン政府による武装勢力に対する掃討作戦に支持を表明するとともに、戦闘により生じた国内避難民(IDP)支援のために連携することで一致した。
II.成果文書
上記I.の議論を踏まえつつ、以下の成果文書を発出(骨子別添)。