
不拡散に関するハイリゲンダム声明(骨子)
平成19年6月8日
1.総論
- 大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散防止、並びに国際的なテロリズムとの闘いは、国際の平和と安全に極めて重要。拡散上の挑戦に対抗するとの我々のコミットメントは引き続き決然たるもの。拡散上の挑戦に対抗するためには、幅広く多面的なアプローチに基づく断固たる行動と国際的な協力が求められている。
- あらゆる不拡散努力の規範的基盤をなす多国間条約体制へのコミットメントを再確認。大量破壊兵器関連条約(核兵器不拡散条約、化学兵器禁止条約、生物・毒素兵器禁止条約)の強化及び普遍化は優先事項。
- 拡散に対する安全保障構想(PSI)を含め、大量破壊兵器等の不法取引と闘うための効果的な措置の採用を強く求める。
2.軍縮会議及び兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)
- 軍縮会議の停滞打破に向けた努力を強く支持。兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始に対する支持を再確認。
3.核実験モラトリアム
- すべての関係国に対し、核実験モラトリアムの遵守を求める。
4.核兵器不拡散条約(NPT)
- 核不拡散体制が深刻な挑戦に直面していると認識。NPTの「3本柱」へのコミットメントを再確認。NPTの普遍化に向けて引き続き取り組む。
- すべてのNPT締約国に対し、2010年NPT運用検討会議第一回準備委員会によって成功裏に始まった、バランスの取れた、かつ組織だった条約運用検討プロセスに対する建設的な貢献を要請。
5.原子力の平和的利用
- 核燃料サイクルに関する多国間アプローチに関し、IAEA事務局長による提案に期待。また、核燃料サイクルに関しこれまでに各国より提案されたイニシアティブを評価。
- 原子力の平和的利用のため、不拡散、安全、及びセキュリティの最も高い基準が遵守されるよう確保することへのコミットメントを再確認。
6.イラン
- イランの核計画による拡散上の懸念を解決することへのコミットメントにおいて、G8は引き続き結束。
- イランが安保理決議1696、1737及び1747の下での義務を遵守していないことは遺憾。イランがこれらの義務の遵守を拒む場合には更なる措置を取ることを支持。
- 研究開発を含む濃縮関連・再処理活動を停止するための措置を取り、交渉が開始されることを可能ならしめるよう、イランに要請。
- イランの核計画が専ら平和目的であるとの国際社会の信頼は、原子力分野のみならず政治・経済・技術分野における一層幅広い分野において、対イラン関係の全く新しい一章が開かれることを可能とする。
7.北朝鮮
- 六者会合、及び未解決の懸案事項の解決を含む第4回六者会合共同声明の完全な実施に向けた第一歩としての初期段階の措置の速やかな実施を支持。
- 国際の平和と安全に対する明白な脅威である北朝鮮の核実験を非難。
- 北朝鮮に対し、安保理決議1695及び1718を遵守し、更なる核実験及びミサイル発射を厳格に差し控え、すべての核兵器及び既存の核計画並びにその他すべての大量破壊兵器・弾道ミサイル計画を放棄するよう求める。
- すべての国が、安保理決議を完全に履行することを期待。
8.インド
- 不拡散体制を強化する形で、インドへの原子力協力に向けた更に前向きなアプローチを円滑にするためにも、インドが不拡散体制の強化に向けた更なる措置を取ることを慫慂。
9.核テロリズム
- 核テロリズムの脅威は引き続き深刻な懸念事項。核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブへの参加拡大と更なる発展にコミットする。
- 各国に対し、核テロ防止条約及び改正核物質防護条約の署名・締結を要請。
その他、化学兵器禁止条約、生物・毒素兵器禁止条約、安保理決議(1540、1695、1718、1737、1747)に基づく不拡散に対する金融措置、核燃料サイクルの機微技術の移転、G8グローバル・パートナーシップ等にも言及。