気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発(仮訳〔骨子〕)
平成17年7月6日~7月8日
G8グレンイーグルズ
1.序文
- 気候変動は地球のあらゆる場所に影響を及ぼす可能性のある深刻かつ長期的課題。人間の活動等が温暖化に関連する温室効果ガスの増加の主要な原因。
- 貧困削減のための精力的な努力と共に、G8は、温室効果ガス削減、地球環境向上、エネルギー安全保障の強化、大気汚染の削減という共有する目的を達成するために、決意と緊急性をもって行動する。主要な新興経済諸国と協力し、温室効果ガス排出の大幅な削減方法を探る。
- G8は、大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるという国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の究極的な目的を再確認する。
- G8は、温室効果ガス削減のための技術革新、エネルギー効率性の向上と技術の普及の加速化を促進する。民間投資や技術移転を促進するため、開発途上国と協力する。
- 「気候変動、クリーン・エネルギー及び持続可能な開発に関する対話」を進め、エネルギー需要の大きな他の関心国を招請する。また、2008年のG8サミットで報告を受けるとの日本の提案を歓迎する。
- 京都議定書締約国はその発効を歓迎し、その成功に向け取り組む。
2.グレンイーグルズ行動計画
(1)エネルギー利用方法の転換
- エネルギー効率の向上は経済成長と環境の双方に有益。シーアイランドでの合意を受け、本年4月に東京で開始された3Rイニシアティブは資源の効率的な利用を促す重要な一歩。「国連持続可能な開発のための教育の10年」等の国際的な取組を通じた意識向上も重要。
- 建築物のエネルギー効率向上のため、IEAに各国の建築基準・規則の見直し等を求める。また、G8各国で公共建築物の調達・管理のガイドラインを策定する。
- 電化製品の省エネ推進のため、ラベル付けや基準設定、製品テストの国際的な政策協調を奨励する。
- 低排出車の開発・導入を促進する。車輌の選択が環境に与える影響について、消費者の意識向上をはかる。
- 航空輸送における安全性の向上、燃料効率の改善、排出削減の努力を継続的に行うため共同作業計画を実施する。
- 産業部門によるエネルギー効率化措置の分析をIEAに委託し、部門別及び国境を越えたパートナーシップを構築する。
(2)将来に向けたクリーン電力
- 安定した手ごろな価格でのエネルギー供給はG8のみならず世界の経済成長と貧困削減に重要。
- 再生可能エネルギー利用の増加を含め、エネルギー供給構成の多様化が必要。今後も主要なエネルギー源となる化石燃料の使用に伴う大気汚染と温室効果ガス排出に対処する必要がある。
- 原子力の利用を継続するG8諸国が、より安全で信頼性があり転換、拡散しにくい先進技術を開発する努力に留意する。
- 石炭火力発電所のエネルギー効率に関する情報を評価・見直すためのIEAの作業を支援する。
- 再生可能エネルギーの開発・商業化を引き続き促進する。途上国と協力して再生可能エネルギーに関する能力開発や研究開発を支援する。
(3)研究開発の促進
- エネルギー技術の研究開発におけるコミットメントの強化、国際協力及び調整が必要。IEAと協力して、途上国の参加と、先進国・途上国間の共同作業を促進する。
(4)クリーンエネルギーへの移行のための資金調達
- 前向きな投資環境と効果的な市場モデルは、新技術の採用及び経済成長のためのエネルギーへのアクセス拡大にとって非常に重要。クリーンな技術やエネルギー源への市場主導型のアプローチ支援にあたっては各国が国情に適した手段を選択する。
- 京都議定書締約国は京都メカニズム(共同実施、国際排出量取引、クリーン開発メカニズム)の実施の強化、発展等に取り組む。
(5)気候変動の影響への対処
- 全ての国は、政府が気候、環境、公衆衛生、経済的及び社会的要因を開発・国土保全戦略に統合するために、更なる情報アクセス及び科学的能力の開発を必要とする。
- グローバルな地球観測についてエビアンで行ったコミットメントを踏まえて、G8は観測の分野における指導力を引き続き発揮し、全球地球観測システム(GEOSS)推進のための10か年実施計画の採択を歓迎する。
(6)違法伐採対策
- 違法伐採はアフリカその他の貧困国における人々の生活に影響を与え、環境劣化、生物多様性の喪失や森林の枯渇をもたらすことにより、持続可能な開発に影響を与える。
- 違法伐採への対処は持続可能な森林経営のための重要なステップであり、木材生産国及び消費国双方からの行動が求められる。
- 違法伐採に関するG8環境・開発大臣会合の結論を承認する。目的を推進するため、各国は最も効果的に貢献しうるところから、同会合の結論を前進させる。