
アフリカ(仮訳〔骨子〕)
アフリカにとって現在は好機。指導者達は大陸の将来に新たな構想を抱いている。アフリカはこのままではミレニアム宣言の目標を達成できない見通しだが、民主的選挙、経済成長、良い統治等で重要な進展も見られる。
1.進展に基づいて:アフリカに対する新たな約束
- 我々はアフリカの改革が弾みを増すことを支援したい。我々は今日、アフリカの努力を支援する約束を更新。一連の新たな措置に合意。
- 今日の約束は、アフリカ自身の努力とG8の一連の約束が基盤。アジアを含む他の諸国は、経済発展の成功経験を共有する意向。南南協力は重要な貢献となりうる。
2.平和・安全保障
- アフリカの紛争解決・平和維持能力向上への支援を拡充。アフリカ待機軍設立に対し協調して技術支援。輸送・後方支援等を支援。テロに対抗。
- 紛争の予防・再発防止を支援。大陸早期警戒システム整備、賢人パネル実施に協力。「紛争資源」、小型武器への対策。国連平和構築委員会を支持。
- 紛争後の国々への迅速で柔軟な債務救済を適切に実施。元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰を含む復興に無償資金を供与。
3.良い統治・反応の良い統治の促進
- AU委員会や全アフリカ議会等への支援、APRM(相互評価メカニズム)に係る支援を通じたAU、NEPADの強化。
- 採取産業に関する透明性イニシアティブへの支援を拡充。国連腐敗防止条約の早期批准に向けて努力。民間部門による贈賄を削減。
4.人々への投資
- 初等教育、基礎保健医療に係るミレニアム宣言の目標の実現、HIVやマラリアなどの感染者の減少、安全な水と衛生への人々のアクセスの確保等が目的。
- より良い教育、教員の増加、教育施設への投資を支援。ファスト・トラック・イニシアティブ(FTI)対象国が持続可能な教育戦略を作成するのに必要な資金を得られるよう支援。
- 医師や看護師などの訓練及び国外流出防止を助ける等して、アフリカの政府と共に保健システムの改善に投資。
- HIV感染の大幅減を目標。エイズ孤児への適切な支援を確保。全ての国での「スリー・ワンズ」実施に向け地域の関係者と協力。
- G8世界HIVワクチン事業に基づき、直接投資を増やし、また、ワクチン開発等を促進するため、市場インセンティブに関する取組を推進。
- 2006-8年のポリオ撲滅期間後もポリオ撲滅イニシアティブを支援。蚊帳等の入手を支援するなどしてマラリア対策の拡充に協力。結核に係るニーズ充足を支援。
5.成長の促進
- 民間企業は成長と発展の主要な原動力。アフリカ諸国は投資環境を大幅に改善する必要があり、引き続き支援。
- ドーハ・ラウンドの野心的でバランスのとれた決着が、アフリカが貿易から裨益し、アフリカ諸国の世界経済への統合が進むための最善の途。12月の香港閣僚会合が、2006年のドーハ・ラウンドの成功のために決定的に重要。
- 途上国の物理的・人的・制度面からの貿易能力構築のための支援を拡充。
- 広域インフラ整備等促進のため、国際インフラ・コンソーシアム形成努力を継続。
- アフリカ向けの「強化された民間セクター支援策(EPSA)」等を通じて投資、企業発展等を支援。
- 農業生産性の向上、農村と都市の連結強化、貧困層のエンパワーメントのための包括的な取組を支援。
6.開発のための資金の調達
- G8その他のドナーのコミットメントにより、2010年までに、アフリカ向けODAは年間の総額で250億ドル増加、この結果、アフリカ向けの援助額は2004年と比較して2倍以上に増加。G8その他のドナーからすべての開発途上国へのODAは、2004年と比較して、2010年までに、年間の総額で約500億ドル増加する見込み。
- 適格な重債務貧困国がIMF等に負っている債務の100%免除の提案に合意。
- 「援助効果向上に関するパリ宣言」の全ての約束を実施、モニター。
7.パートナーシップと相互責任:グレンイーグルズとそれ以降
- 我々の共同の努力の結果に焦点を当てつつ、アフリカとのハイレベルでの戦略的対話を前進させる効果的なメカニズムが必要。
- アフリカ首脳個人代表(APR)とアフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)の生産的な役割を認知。APFの強化に合意。
8.結論:グレンイーグルズからニューヨーク、香港へ
- G8以外の世界の他の首脳や機関が、9月の国連総会の成功に向けて共に努力することを要請。
- 世界の他の首脳が、12月の香港でのWTO閣僚会合の成功に向けた我々の努力に参画することを要請。
添付
別添I
G8及び国際的な対応
- 1998年のバーミンガム・サミットは、より貧困な国々に更なる救済を与えるため、1996年のリヨン・サミットで立ち上げられた重債務貧困国(HIPC)イニシアティブを拡大する必要性につき合意した。
- 1999年のケルン・サミットは、拡大HIPCイニシアティブを打ち出した。これは、大部分はアフリカの27カ国における社会的支出を毎年約40億ドル増加させることに貢献してきた。
- 2000年の沖縄サミットは、アウトリーチ対話にアフリカ首脳を招待した初めてのG8サミットとなった。このサミットでは、2001年のジェノバにおける世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設置に繋がるプロセスを開始した。
- 2001年のジェノバ・サミットでは、G8は、「アフリカのためのジェノバ・プラン」を通じてNEPADに呼応する必要性を認識し、具体的な行動を提言するアフリカ問題首脳個人代表を任命した。
- 2002年のカナナスキス・サミットでは、G8は、「G8アフリカ行動計画」を打ち出し、G8とアフリカの新たなパートナーシップを開始した。我々はその際、この計画は、貧困削減、良い統治及び経済改革にコミットしているいかなる国も、資金不足によってミレニアム目標の達成の機会を否定されることはないことを確実にすることに貢献すると発言した。
- 2003年のエビアン・サミットでは、G8は、これらを前進させるための具体的措置、「水に関するG8行動計画」及び新たな「アフリカの平和支援活動能力向上のためのG8・アフリカ共同計画」を発表した。また、アフリカ側とG8を超えた開発パートナーの間の対話のためのアフリカ・パートナーシップ・フォーラムを創設した。
- 2004年のシーアイランド・サミットでは、G8は、HIVとポリオに対処し、開発における民間部門の役割を向上させ、透明性を高め腐敗と闘い、生産性向上の追加的な措置をとり、グローバルな平和支援活動能力を拡大させるための、更なる措置に合意した。
- 加えて、G8各国政府は、アフリカを支援するため各々具体的なコミットメントを行った。我々は、共同で、2001年以降、アフリカ向け援助額を倍増させた。
別添II
資金に関するコミットメント(G8各国毎に提出されたもの)
- EUは、2010年までのODA/GNI比0.56%到達を新たな共同中間目標としつつ、2015年までにODA/GNI比0.7%に到達することを約束した。EUは、2004年から2010年で345億ユーロから670億ユーロへODAをほぼ倍増させる。この増加分の少なくとも50%がサブサハラ・アフリカに向けられることになろう。
- (革新的方法に支援される)ドイツは、2010年にODA/GNI比0.51%、2015年に0.7%に到達することを約束した。
- イタリアは、2010年にODA/GNI比0.51%、2015年に0.7%に到達することを約束した。
- フランスは2007年にODA/GNI比0.5%(これは、うち3分の2がアフリカ向けで、2000年以降少なくともODAの倍増となる)及び2012年までにODA/GNI比0.7%に到達するスケジュールを発表した。
- 英国は、2013年までにODA/GNI比0.7%に到達するスケジュールを発表し、また2003/04年から2007/08年の間にアフリカにおける二国間拠出を倍増する。
- 上記の国々は、革新的な資金調達メカニズムが、ミレニアム開発目標を達成するために必要な資金を調達し、また前倒しでもたらすことに貢献すると強く信じる。これらの国は、国際金融ファシリティ(IFF)、予防接種のための実験的なIFFのほか、特に保健医療分野における開発プロジェクトの資金を手当てし、またIFFへの資金手当を行うための航空券についての連帯した貢献を引き続き検討する。作業部会がこれらのメカニズムの実施につき検討する。
- 米国は2004年から2010年の間に、サブサハラ・アフリカ向け援助を倍増することを提唱する。同国は、年間総額50億ドルまでの供与を目標としたミレニアム挑戦会計、150億ドルのエイズ救済のための緊急計画、アフリカにおける人道上の緊急事態へ対処するための2005年における20億ドル以上のイニシアティブ、及び12億ドルの新たなマラリア・イニシアティブを立ち上げた。米国は、5年間で6億6千万ドルの世界的な平和活動イニシアティブ等を通じて、紛争の予防及び緩和に引き続き取り組む。
- 日本は、今後5年間のODA事業量について、100億ドルの積み増しを目指す。日本は、今後3年間でアフリカ向けODAを倍増することにコミットし、また、今後5年間で50億ドルの「保健と開発に関するイニシアティブ」を立ち上げた。日本は、アフリカ開発銀行と連携し、「アフリカの民間セクター開発のためのイニシティブ」の基金に対し、今後5年間で10億ドル以上を供与する。
- カナダは、2001年から2010年に国際的支援を倍増し、2003/4年から2008/9年にアフリカ向け援助を倍増させる。さらに2005年の予算により、主にアフリカが影響を受けている疾病と闘うため3億4,200万加ドルが追加的に供与された。2億加ドルのアフリカのためのカナダ投資基金は、民間投資に対して官民の危険負担資本を供与する。また、カナダは、ダルフールにおけるAUの努力に対して1億9,000万加ドル及び人道上の要請に対して9,000万加ドルを供与する。
- ロシアは、HIPCイニシアティブへの22億ドルの債務救済を含め、アフリカ諸国が負う113億ドル相当の債務を削減、また削減へのコミットを行った。これらに加え、ロシアは、HIPC諸国の非ODA借款による全債務残高を帳消しにすることを検討している。これにより、これらの諸国の債務救済額は7億5千間ドル増加する。