
生物・毒素兵器禁止条約第7回運用検討会議に関するG8外相声明(仮訳)
平成23年3月15日
(英文)
- 我々,G8外相は,特定の大量破壊兵器を全て禁止する最初の多国間条約であり,また生物・毒素兵器を禁止する国際的取組の基軸である生物・毒素兵器禁止条約(BTWC)を無条件に支持することを確約する。我々は近年の締約国による活動を評価する。
- 生命科学分野における技術的進歩のありうべき悪用や,国家又は非国家主体による生物・毒素兵器の開発又は使用のリスクは,国際社会にとって大きな課題である。こうしたことから,我々はBTWC体制の強化が,危険な生物剤の拡散及び取得,並びに生物・毒素兵器開発のための生命科学及びバイオ技術の意図的悪用の脅威を削減する上で最も重要な役割を果たすことを強調する。2011年12月にジュネーブで開催される予定の第7回BTWC運用検討会議は,かつてなく変化する環境において,現在の我々の集団的安全保障にとって極めて重要な本条約の権威と増大する重要性を再確認する機会を提供するものである。条約遵守における相互の信頼の向上に関する目に見える進展は,最重要な地球規模の軍備管理条約の一つであるBTWCのために非常に必要とされている。
- 我々は,運用検討会議の主要な問題及びこれへ対処するために必要な行動についてコンセンサスを確立すべく,すべてのBTWC締約国との協議を追求するつもりである。我々は,条約の規定の実施及び遵守に関する目に見える進展につながる,バランスがとれかつ実質的な最終宣言の採択に成功するために,今次運用検討会議議長に指名されたファン・デン・アイセル大使の取組を支援する。我々,G8外相は,すべての締約国に対し,運用検討会議に積極的に参加することを慫慂し,また締約国の実質的な貢献を歓迎する。
- より安全で安心できる世界という目標に沿い,また,生物・毒素兵器の使用は人類の良識にとって受け入れられず,国際安全保障に対して深刻な脅威となることを確信しつつ,我々は,BTWCのすべての義務を完全に尊重し,特に,いかなる状況下においてもこの種の兵器の開発,製造,保有,取得,保持,使用を決して行わないとの我々のコミットメントを再確認する。我々は,本条約のすべての締約国に対し,国家及び非国家主体による生物兵器の取得・使用を効果的に防止するための我々の取組に参加することを要請するとともに,すべての適切な方策を通じて支援と協力を継続する。
- すべての締約国による条約の規定の完全かつ効果的な履行は,条約の目的達成のために必要である。かかる目的を達成のために条約の会期間活動が重要であることを認識しつつ,我々は,BTWC遵守の保証を強化するより効果的な方策や,関連する科学技術の発展の条約の全ての関連する条項に対して与える影響について検討することを含め,条約の中心的問題に対処する,新しく実質的な行動計画について,すべての締約国との議論していくことを決意する。
- 我々は,第7回運用検討会議において関連の決定を検討し採択するために,条約及びその体制を強化する方策を考案すべく,締約国他と共に取り組む決意である。また我々は,国連総会決議42/37に従った,化学・生物兵器の使用疑惑について,現行の国連事務総長(UNSG)による調査メカニズムの強化を支持する。
- 我々は,過去5年間にわたる履行支援ユニット(ISU)による質の高い活動を賞賛する。我々はISUのマンデートを更新し,運用検討会議によるISUの任務とリソースのアセスメントの後,要すればそれを強化することへの完全な支持を約束する。
- 締約国間の透明性は信頼のための不可欠の条件である。この点を踏まえ,最近の科学技術の進展を反映するために,条約の信頼醸成措置(CBM)が妥当であり,また役に立つものであることを確補する必要がある。我々は,透明性を向上させ,CBMへの参加を拡大させる取組を強化するための活動を,すべての締約国と共に追求する決意である。我々は,CBM未提出国に対し,その当初の目的を達成するために,CBMを定期的に提出することを要請する。我々がその取組を賞賛するEUのように,我々は,CBM提出に関する技術支援を享受したいと希望する締約国への支援を継続する。
- 市民社会,特に学界や産業セクターの関与は,条約の規定の効果的履行のために不可欠である。それゆえ我々は,生物分野における科学技術の進展を十分考慮に入れるため,かかる関与を強化する。同様に我々は,技術発展の悪用の可能性を制限するために,生命倫理に関するデュアルユース(二重用途性)教育プログラムへの支援も含め,生命科学の進展に関与する者の間での更なる啓発活動を行う。
- 条約の普遍化は不可欠である。我々はかかる目的のために全力を尽くすとともに,条約に未加入国に対し,加入することを慫慂する。