
カナダ議長声明(骨子)
平成22年3月30日
(和文仮訳・英文)
G8外相は、世界の平和と安全に影響を与える状況や問題について意見を交換し、行動を調整するために、3月29日、30日にケベック州ガティノーで会談を行った。外相達は、ガティノーにおいて、核不拡散・軍縮、テロリズム、安全保障上の脆弱性という3つの広範なテーマについて議論を行った。
核不拡散・核軍縮
- (総論)
- 核拡散から生じる世界の安全に対する脅威は重大。2010年は未来に向けた道筋を描く上で決定的な年。
- 核兵器のない世界に向けた重要な一歩として、核兵器を一層削減する米露交渉の妥結を賞賛。
- 核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に向け、前向きなモメンタムをつくることに貢献。
- (イラン)
- イランがその原子力計画についての国連安保理決議上の義務及びIAEAに対する義務に従っていないことは、G8外相の重大な関心事項。
- イランに対し、IAEAと全面的に協力し、関連する国連安保理決議に従うことを可能な限り最も強い言葉で強く要請。
- 正当な反対意見が、イラン政府によって暴力的に抑圧され続けていることを懸念。イラン政府に対し、法の支配や普遍的に認められている人権を遵守するよう要請。
- (北朝鮮)
- 北朝鮮の核・ミサイル計画は、地域を不安定にするものであるとともに、国際社会全体の安全に対する脅威。
- 北朝鮮に対し、無条件で六者会合に復帰し、朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化を含むコミットメントを果たすよう要請。
- 北朝鮮に対し、拉致問題を含め、人道上の状況について国際社会が有する懸念に取り組むことを要請。
テロリズム
- (総論)
- モスクワで3月29日に発生した卑劣なテロ攻撃を強く非難し、犯罪者が訴追されることを求める。(独立の声明も発出。)
- テロリストは新しい方法を追求し続けている。警戒を怠らず、テロリストの活動を阻害し抑制するために協力し続けることに同意。
- 世界的に航空保安を強化し続けることの重要性について議論。
- (アフガニスタン・パキスタン)
- アフガニスタンが再びテロリストの安息地にならないよう、同国における軍事的及び文民的関与について議論。(独立の声明で詳述。)
- パキスタンの状況と、国内の経済社会的課題の解決に向けた同国政府の取組について議論。
- 国境地域におけるアフガニスタン及びパキスタン両政府の取組を引き続き支援。アフガニスタン・パキスタン国境地域繁栄イニシアティブを実施することに同意。
- (イエメン、ソマリア、サヘル)
- イエメン政府がテロと闘い、政治・経済改革を実施することを国際社会がいかに支援できるかについて議論。
- 依然として不安定なソマリア情勢も、外相の関心事項であり、暫定連邦「政府」への国際的支援を奨励。
- 犯罪集団等の浸透拡大によって引き起こされている、サヘル地域全体に及ぶ安全保障上の脅威についても深刻な懸念を共有。
安全保障上の脆弱性
- (総論)
- 安全保障上の脆弱性を抱える国々及び地域機構が、民主的統治、法の支配及び人権の尊重を支える制度を構築することを支援する必要性について議論。
- そうした制度構築の努力が一層効果的で一貫性を有するものとなる方策を探求する高級実務者会合を開催するというカナダの提案を歓迎。
- (ハイチ)
- ハイチでの救援活動は継続されなければならないが、同時にインフラ、統治及び安全保障上のより長期的なニーズについても注意が向けられなければならないとの見解を共有。
- (ラテンアメリカ・カリブ)
- 国際組織犯罪や違法な薬物取引によりラテンアメリカ・カリブ地域の国々が直面している課題とその影響について議論。
- (中東)
- 3月19日に中東和平のためのカルテットが発出した中東に関する声明を支持。当事者間交渉の再開に向けた一歩としての間接交渉の重要性を強調。
- 両当事者に対し、ロードマップを遵守し、交渉の成功に寄与するような環境を醸成することを要請。
- (ミャンマー)
- ミャンマーにおける国民対話の必要性、選挙法への懸念ともに、2010年に予定されている選挙が透明で自由、公正かつ包含的に実施される必要性について議論。
- ミャンマー政府に対し、来るべき選挙において完全なる民主的参加を実現することを要請し、アウン・サン・スー・チー女史を含む、すべての政治犯を釈放することを求める。
- (スーダン)
- 4月にスーダンで行われる選挙が、包括和平合意により規定されたスーダンの民主化のための重要な一歩になりうることに同意。
外相は、次回会合を、2010年9月にニューヨークにて、国連総会のマージンで行うことに同意した。