
第4回国連後発開発途上国(LDC)会議 概要
平成23年5月13日
1.概要
第4回国連後発開発途上国(LDC)会議がトルコ・イスタンブールにおいて5月9日~13日に開催された。本会議には各国政府要人が多数参加した他,潘基文(パン・ギムン)国連事務総長,ダイス国連総会議長,ラミーWTO事務局長,ディウフFAO事務局長,スパチャイUNCTAD事務局長,レークUNICEF事務局長,ユムケラーUNIDO事務局長をはじめとする開発に関わる多くの国際機関の長が参加した。
第3回(平成13年5月,於:ブラッセル)の会議と同様に,一般演説やテーマ別会合及び数多くの行事が並行して行われ,政府関係者以外の援助関係者も多く参加してLDC支援について国際社会が検討する良い機会となった。
2.我が国代表による一般演説
我が国からは角・国連代表部大使が首席代表として出席し,東日本大震災の後にLDCを含む世界各国から表明された支援に対する謝意を表明するとともに,主として以下の点について発言した(一般演説、英文)。
- (1)復興外交を進めるとともに,国際公約の実現に誠実に取り組んでいく決意を表明。
- (2)人間の安全保障の視点に基づき,持続的で包括的かつ衡平な経済成長を通じた貧困削減を目指す援助を推進。
- (3)LDC48カ国のうち33カ国が所在するアフリカの発展を力強く支援し,TICAD IVの公約を引き続き誠実に実現。
- (4)増加する開発主体との連携強化の必要性を主張。
- (5)意志と能力を有する新興国と協力してLDC諸国を支援する三角協力を推進。政府及び個人の能力開発にも積極的に貢献。
- (6)貿易のための援助等を通じLDCの貿易を通じた経済成長を後押し。
3.「政治宣言」/「行動計画」
5月13日,2011年から2020年までの今後10年間の取組に関する「政治宣言」及び同宣言に関する具体的取組をまとめた「行動計画」(概要別添)が採択された。「政治宣言」の主要ポイントは以下のとおり。
- (1)今後10年間に,LDC諸国の半数が,貧困削減及び成長の実現を通じLDC卒業基準を満たすことを包括的な目標として,LDC諸国を支援することにコミット。
- (2)今後10年間のLDCの開発における優先分野として生産能力構築を取り上げ,具体的な取組として,民間セクター開発,国内及び外部資金の動員,技術・情報等へのアクセス及び技術等の向上,農村開発,地域経済統合等に言及。
- (3)LDCの開発支援において,ODAは重要な役割を担うことを確認。また,長期的な有償資金協力の持続可能性の重要性を認識。
- (4)南南協力の重要性を強調。また,市民社会や民間セクターといった様々なステークホルダーがLDC諸国の開発努力に関する役割を向上させることを要請。
- (5)国際貿易がLDCの経済成長及び持続可能な開発のカギとなることを再確認。
- (6)LDC諸国が経済危機や気候変動に対応する能力の強化,自然災害への脆弱性の低減,環境保護及び生態系の保全等の必要性を確認。
- (7)行動計画等の実施状況につき,効果的及び効率的なフォローアップ及びモニタリング・メカニズムの重要性を再確認。
(参考)
国連後発開発途上国(LDC)会議とは,貧困等の様々な問題に直面する後発開発途上国がそれらの問題の解決及び持続的な発展に向け開発をすすめることができるよう,LDC,ドナー国,国際機関等が集まり議論し,向こう10年のLDCのための行動計画を作成し,採択するために,国連主導の下で1980年に設けられた会議。これまでに3回の会議が開催されている。