経済

2005年OECD閣僚理事会議長サマリー(仮訳)

2005年5月

:この文書の原文は英語なので、より正確な内容をお調べの方は、OECDのウェブサイトの原文他のサイトヘをご参照下さい。)

グローバリゼーションの実現

  1. スウェーデンは、2005年のOECD閣僚理事会の議長を務めるという名誉を得た。今時会合を統一するテーマは、「グローバリゼーションの実現」であるが、これは今日における最も重要な課題の一つである。グローバリゼーションは不可避であり、かつ望ましいものである。我々の使命は、取り残される危険のある人々のニーズに対応しつつ、開放的な市場の機会をとらえて、グローバリゼーションを包括的かつ持続可能なものとすることである。我々は審議の末、全ての人々にとって利益となるグローバリゼーションを可能にするための共有された責任を引き受ける意思を示した。

  2. 閣僚は、成長と持続可能な開発を促進し、エネルギーへの投資を促し、構造改革を推し進め、貧困を削減し、ドーハ開発アジェンダの成功を確保するーこれらは全て来るG8サミット、国連、WTOにとって重要であるーためには全ての関係する政策手段を首尾一貫した方法で用いる必要があることを強調した。

  3. OECD非加盟国との対話は有益だった。BIAC、TUAC、及びOECDフォーラムでの幅広い市民社会との対話からも得るものがあった。

経済概観

  1. 閣僚は、原油価格の急激な上昇にもかかわらず、昨年の成長は全体的に見て力強かったことに留意した。低い金利、グローバリゼーション、特にアジアにおける貿易の急伸、競争力の向上によるインフレ圧力の抑止が功を奏した。エネルギー価格の上昇及び為替レートの変動が進むにつれて、経済の伸展は幾分弱まっている。しかしながら、経済成長は今年後半にはモメンタムを回復し、各国においてよりバランスがとれたものとなるであろう。

  2. 緊張と危険もいくらかはある。一つの顕著なものは原油価格である。内外不均衡の持続も、経常収支のギャップの拡大、大きな財政赤字、幾つかの資産市場における過大評価等の形で見通しを暗くしている。不均衡は、為替レート調整等を通じ順調に解消されるかもしれないが、幾つかの混乱要因は解消されない。しかし、構造改革に堪え忍ぶことでこれらの阻害要因を解消することができよう。

  3. 閣僚は、持続可能な公共財政を達成し、維持することの根本的な重要性を繰り返し、現在の予算状況や人口の高齢化に伴う数々の圧力を考慮すれば、ほとんどのOECD加盟国にとって、これが課題となることを認識した。

  4. OECD経済審査に関しては、APEC加盟国閣僚は、全ての国についての平等な取り扱いを改めて要求し、この審査が依然としてEU政策全般を取り扱っていないことへの失望を表明した。

エネルギーへの投資

  1. 閣僚は、2030年までに16兆ドルの投資が必要との国際エネルギー機関による見解に留意した。通常のシナリオでは、世界のエネルギー需要と二酸化炭素排出量は2030年までに60%増加する。エネルギー需要の増加が環境や気候に与える影響を減らすべく、更なる努力が必要である。

  2. 閣僚は、高く、そして不安定なエネルギー価格に対処する必要性を強調した。このためには供給及び需要双方に影響を与えるような行動が生産者と消費者の双方によって必要とされる。市場の安定のためには、産油国との対話の深化及び透明性の向上が重要である。

  3. 閣僚は、クリーンで手頃なエネルギーの十分な供給が、経済・社会開発に重要であることを強調した。エネルギー技術とインフラへの投資は、気候への影響が小さい、持続可能で効率的な技術に向けられなければならない。このために、我々は以下のことを推進すべきである。

    • 市場原理に基づく政策及び措置
    • 技術への投資、移転、普及のための透明かつ安定的で世界的に一貫したメカニズム及び枠組み
    • 持続可能なエネルギーシステムのための研究開発
    • 政府と産業の間での協力
  4. エネルギー及び資源の効率性の強化は、成長を刺激するものであり、これを妨げるものではない。閣僚は、競争力、効率性、及び消費者の選択を改善するために、エネルギー市場の更なる自由化が必要であることを強調した。OECD加盟国及びOECD非加盟国双方において、不必要に市場を歪曲する有害なエネルギー補助金を除去するために取り組むべきである。

  5. 閣僚は、途上国が市場を通じ世界のエネルギー資源への平等なアクセスを得なくてはならないことを認識した。我々は、近代的なエネルギーサービスを持たない途上国において16億人に同サービスを提供するために共に行動する。

  6. 長期的には、温室効果ガス排出の削減及び手頃で環境面で持続可能なエネルギー供給を確保するためには技術革新が鍵である。閣僚は新技術の開発・配備のための適切な枠組みを提供するために最善を尽くす。

グローバリゼーションと構造調整

  1. 閣僚は、「サービス分野における成長」及び「貿易と構造調整」のOECDの研究とその政策メッセージを歓迎した。閣僚は、グローバリゼーションが全ての人々に恩恵を与えることを確保するために政策がとられる必要があることを認識しつつ、グローバリゼーションは前向きな力であることに合意した。グローバリゼーションは、個人、地域、国家に対する調整課題が適切に処理されれば、長期的には真に「ポジティブサムゲーム」である。

  2. 閣僚は、安定と成長を推進するマクロ経済枠組、ソーシャル・セーフティネット、効率的な規制枠組、開放的な貿易・投資政策、人的資源開発、能動的な労働市場政策、生涯学習、及びイノベーション政策は、構造調整にとって重要な要素であることに留意した。何人かの閣僚は、経済的、社会的、環境的に持続可能な政策を策定する必要性と持続不可能な生産及び消費のパターンを変えることの必要性を強調した。

  3. サービス部門には、雇用、生産性、技術革新を増加させる大きな未開発の潜在能力がある。サービス部門の改革は、OECD諸国の将来のパフォーマンスの基盤を改善するために不可欠である。

  4. 閣僚は、OECD加盟国とOECD非加盟国双方におけるグローバリゼーションの影響についての理解を深める必要性を強調した。閣僚はまた、ベスト・プラクティス、政策対応、調整の課題にいかに対応するかに関して研究し、経験を共有する必要がある。閣僚は、提案されたグローバリゼーションと構造調整のフォーローアップ研究を歓迎し、理事会に対して実施に移すよう促した。

ミレニアムの挑戦の達成

  1. 閣僚は、9月の国連ミレニアム開発目標に関する国連ハイレベル特別会合に提出される予定の「国連ミレニアム宣言及びモンテレイ合意のフォローアップに関するOECD声明」を歓迎した。

  2. 同声明は、特に加盟国が、貧困と飢餓を削減し、万民への教育を実現し、AIDSや他の疾病と闘うとのミレニアム開発目標を達成するための努力を強化することにコミットしている。同声明は、援助を増大し、それを効果的に利用するとのコミットメントを再確認する。閣僚は、安定的、かつ予見可能な資金の流入の重要性、政策一貫性の必要性、対話と機能的な多国間システムの重要性を強調した。

  3. アフリカ諸国のミレニアム開発目標達成のための全般的な努力の中で、国内外からの民間投資を促進するための協力を強化するとの日本の提案は支持を得た。この協力は「OECD開発のための投資イニシアティブ」の成果を基に実施される。

ドーハ開発アジェンダの下の貿易交渉

  1. 閣僚は、交渉を成功裏に終えることが、世界規模の成長、雇用、開発、貧困削減のための強力な推進力となることを認識し、2006年末までにドーハ開発アジェンダから野心的な結果を導き出すため、より緊急の意識をもって臨むことを呼びかけた。時間は限られており、すべきことは多数ある。高級事務レベルに交渉を再び軌道にのせるようなマンデートを与える必要がある。閣僚は、12月のWTO香港閣僚会議を成功させるための準備を進めることにコミットした。閣僚会議への良い基盤を7月につくるためには、結果重視の作業が必要である。効果的な多角的貿易体制に取って代わるものは無い。

  2. 各国閣僚は、鍵となる諸問題、即ち、農業、いわゆる非農産品市場アクセス(NAMA、主に鉱工業品)、サービス、貿易円滑化及びルールについて具体的且つ相互補完的な進展が必要であると強調した。全ての分野において途上国の関心が確保されなければならない。特に、関税の換算方法の問題が解決される必要がある農業分野の全ての問題において、交渉の前進が緊急に必要である。閣僚は、このパリでの進展が成果となることを期待する。それぞれのWTO加盟国の能力を考慮しつつ、実質的な市場開放を確保するNAMAにおいて、関税削減方式の議論に収斂の兆しがみられたことを歓迎する。サービスについては、閣僚は、商業的に意義のある改訂オファーを確保し、このプロセスを補完し、適切なベンチマークをつくるために、5月のオファー提出期限の重要性を強調した。今、我々は現状からさらに前進しなければならない。

  3. 閣僚は、開発のためのコミットメントを活性化させるための野心的な最終成果のための努力が必要であることを確認した。途上国の関心と懸念は、ドーハ開発アジェンダの結果に適切に反映されなければならない。最も目に見える利益は、南南貿易を含む改善された市場アクセスに由来するであろう。サプライサイドの能力、及び、制度構築の改善を含む技術協力の強化と能力開発は、途上国が貿易の機会をより活用するために極めて重要である。ここにOECD加盟国は主要な役割を果たす。

  4. 閣僚は、貿易自由化の最大の利益を獲得するために健全な国内政策が必要であることを認識した。それゆえ、政府は適切な国内手続きを踏み、構造調整が社会的責任を満たす形で実施されるよう確保する必要がある。OECDの「貿易と構造調整の研究」は、この観点で価値ある分析を提供している。引き続きOECD貿易政策対話を非加盟国と行うことが慫慂された。

OECD改革

  1. 閣僚は、今日及び将来におけるOECDの役割について議論した。閣僚は、改革の進展を通じて、OECDの作業の高名な質を維持する必要性を強調した。また、閣僚は、政策分析及びピア・レビューの先導者として、また、世界的な規範や標準を設定する先駆者としてのOECDの存在意義を強化するために、モメンタムを維持しなければならないことについて合意した。

  2. 閣僚は、中東・北アフリカ地域への新たなアウトリーチプログラムなどのように、OECDが非加盟国とより戦略的な協力に向けて取ってきた措置へ強い支持を表明した。閣僚は、主要な経済プレイヤーとの間で「多様的関与戦略」を開始するための原則についてなされた進展を歓迎した。

  3. もう一つの重要な取組は、特に将来の拡大の影響を考慮して、OECDのガバナンスの改善方策に取り組むことに合意があったことである。閣僚は、2005年7月末までにそのためのメカニズムを設立することを理事会に求めた。拡大はOECDの健全な機能を危険にさらすべきではなく、むしろ機能を強化する機会とならなければならない。

  4. 閣僚は、2006年の閣僚理事会における事務総長からの報告において、来年改革プロセスに進展が見られるよう、期待を表明した。
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