経済

グリーン成長に関する宣言(仮訳)

平成21年6月25日

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 我々、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チリ、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア共和国、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、及び米国並びに欧州委員会を含む各政府を代表する閣僚は、

以下の点を考慮する。

1.経済回復と環境・社会的に持続可能な経済成長は、今日全ての国々が直面している主要課題である。公共投資が、持続可能な成長を生み出す長期的な枠組と整合的であるべきことに留意しつつ、短期的な経済の回復に貢献し、同時に、長期的なグリーン経済に必要とされる環境にやさしいインフラの建設を進めるため、多くの良く目標設定された政策手段がグリーン投資を促進するため利用可能である。グリーン成長は、現在の危機を越えて、気候変動や環境劣化との戦い、エネルギー安全保障の強化、経済成長の新たなエンジンを生み出すことを含めた喫緊の課題への対応にも関連するであろう。危機を、我々の惑星の未来のために極めて重大な決定を回避する言い訳にしてはならない。

2.各国が持続可能な低炭素経済に向けて進むため、例えば、炭素回収・貯留、再生可能なエネルギー技術、エネルギー効率向上のためのグリーンICT利用といったクリーン技術の開発及び普及と、環境物品とサービスの国際的市場の発展といった分野における国際協力が極めて重要となるであろう。また、12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組条約第15回締約国会議において、野心的、実効的、効率的、包括的、かつ公平な国際的な気候変動の合意に達するためにOECD加盟国間及び新興国、発展途上国との協力も必須となるであろう。

3.OECDは、政策分析およびベスト・プラクティスの特定を通じ、グリーン成長の促進に向けた政策的要請の高まりに対応する各国の努力を支援するとともに、持続可能な経済の構築に向けて、更なる取組を展開しようとする各国と協力することが可能である。

我々は以下の点を宣言する。

4.「グリーン」と「成長」は手を携えて進むことが可能であることを確認し、現下の危機及び危機後の対応の一部としてグリーン成長戦略を追求するための努力を強化する。

5.グリーン投資と天然資源の持続可能な管理を奨励する。この点において、行動を変化させ、民間部門の適切な対応を引き出すため、市場を基盤とした手法、規制や他の政策を通じることを含め、効率的かつ効果的な気候変動のポリシー・ミックスを活用する努力を更に進める。我々は、グリーン投資のためのインセンティブ拡大を考慮することとし、特にカーボン・プライシングが民間セクターの対応を促さないような分野において、これを進める。このような分野としては、持続可能な低炭素社会の構築に貢献することを可能とする、制御され、安全で、持続可能な低炭素インフラや、技術研究開発を含みうる。適切な手段を通じ、また、関連する国際的義務と整合的に、生物多様性の価値の認識に向けた取組は奨励されるべきである。我々はまたグリーン投資の流れや政策、ベストプラクティスに関する情報も共有していく。

6.温室効果ガスの排出を増加させる化石燃料の消費・生産、或いはその他の希少天然資源の持続不可能な使用を促進し、環境に悪い影響を与える結果につながる補助金のような、グリーン成長を阻害する可能性をもたらす、環境に有害な政策を回避または除去するために、国内政策の改革を促す。我々はまた、効率的かつ環境に良い成果を促す、明確で長期的な価格シグナルを確保するため、適切な規制と政策の確立にむけ努力する。我々は、他の主要経済が、OECD諸国に追随するよう呼びかける。

7.労働市場と人的資源育成政策と、グリーン成長対策とが緊密に協調するように確保する。我々は、これらの施策がグリーン・ジョブ及びそれに必要な技能の育成を支援し得ることに留意し、新雇用戦略の実施に関する作業を行うに際してこれらの点に適切な注意を払うことを要請する。

8. 我々は次の点について国際協力を強化する。

8.1.我々は、グリーンICTの強化を含むクリーン技術の開発、市場メカニズムの促進、気候変動と生物多様性の喪失に対抗する戦いと水管理を支援するための、途上国への財政面および他の支援の拡大・合理化・加速について、国際レベルの協力に向けた特別な努力が必要であること確認する。我々はまた、既存の国際合意と自由な貿易・投資の原則に従い、各国が気候変動対策を含むグリーン成長政策を推進することを確かなものとすることの必要性を確認する。

8.2.我々は、共通だが差異ある責任と各国の能力の原則を反映し、全ての国々が計測、報告、実証可能な国内的に妥当な緩和義務および緩和措置或いは適応措置をとり、2009年12月のコペンハーゲンでの国連気候変動会議において、野心的、実効的、効率的、包括的、かつ公平な2013年以降の国際的な気候変動の合意に達するべくあらゆる努力を行っていく。

8.3.我々は、グリーン成長を促す環境物品とサービスの貿易の自由化の重要性を認識する。我々は、気候変動対策のためにとられる措置が、国際的な貿易における義務と整合的なものであることを確保する。

8.4我々は、途上国がグリーン成長を促進することを支援するため、国際開発協力を調整するために特別の努力が必要であることを特に強調し、その関連で、OECD開発援助委員会(DAC)の役割を評価する。

我々はOECDに以下の作業を委託する。

9.分野横断的なプロジェクトとして、経済の回復と環境・社会的に持続可能な経済成長を達成するために、グリーン成長戦略を策定する。我々は、OECD とその各委員会に、グリーン成長政策を支援するため、それぞれの専門分野における取組に優先順位を設定することを要請する。この戦略は、OECDのイノベーション戦略、2030年環境アウトルック、気候変動の経済学に関するOECDの作業、2009年12月のコペンハーゲンにおける国連気候変動会議の結果、及びIEAからのインプットを十分に考慮しつつ、OECD加盟国や主要な非加盟国におけるグリーン成長に関する措置を分析する。2010年の閣僚理事会に中間報告が行われるべきである。

我々は、OECD非加盟国、民間部門、市民社会及びその他の国際機関に以下を要請する。

10.本宣言に沿ってOECDと緊密に協力する。

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