
OECD閣僚理事会結論文書(骨子)
平成21年6月25日
1.回復への道
- 長年にわたる不均衡な世界的成長及び金融セクター及び規制・監督における主要な失敗が今次危機の根本原因。市場原理に基づく開かれた世界経済の利益を持続させるため、効果的な規制を改善し将来の金融危機の再発防止に資する改革の実施への決意表明。
- 経済活動が収縮しつつも複数の国において安定化の兆しが見え始めたことを歓迎。各国の政策対応は成長と信認に良い影響を与えることを確信。バランスのとれた持続的な回復を確保するため集団的な支持策の継続にコミット。
- 回復への計画は、最も脆弱な人々への支援を通じ、危機の人的・社会的側面に対応すべし。失業が長期的失業につながるリスクに対抗し、若年及び高齢の労働者のニーズに焦点を当てる。「新雇用戦略」の効果的な実施を含む労働市場・社会政策でのOECDの作業に期待。
- 政策対応は適時かつ効果的に実施され、長期の潜在成長力増加と市民の福利厚生の拡大というより広い目的と整合的であるべき。回復がいったん確保されれば、危機に対応した非常時の措置を解除するための適切な戦略の必要性について議論。ただし、出口戦略は、各国毎に異なるかもしれない。
- 経済が十分強固となった後には、財政政策のバランスは財政再建に置くべき。
- 構造改革の迅速な実施は、財政破綻や生活水準低下の防止に不可欠。OECDが危機から教訓を導き出し、分析・勧告を行うことを歓迎。イノベーション戦略に期待。
- 援助の量及び効率性、開発に関する政策一貫性、開発金融についてのコミットメントを再確認。DACハイレベル会合で承認された行動計画を歓迎。
2.グリーン成長
- 現在の危機は、環境・雇用・経済に資する改革の触媒となり得る。グリーン成長宣言を承認。年末の国連気候変動会議における、野心的、実効的、効率的かつ公平な国際合意到達にOECDが貢献することを歓迎。OECDが長期的な経済成長と環境の相互関係等について作業を行うことを歓迎。
3.市場開放の維持
- 保護主義に対抗すべき。ロンドン・サミットで承認されたように、貿易・投資を推進するために、開放的、現状維持、ロールバック、無差別といった原則にコミットする。産業支援については、貿易・投資上の歪曲を最小化すべきであり、また透明、一時的かつWTO整合的であるべき。最も効率的かつ貿易・投資に対する歪曲が最も少ない政策アプローチの分析とそれを確定するため、OECDの役割を歓迎。「貿易のための援助」の促進を要請。
- 野心的かつバランスのとれた包括的なドーハラウンドの妥結が必要。ロンドン・サミットの輸出信用コミットメントについてOECDの役割を歓迎。
- 「投資の自由プロジェクト」の下、全ての参加者は投資政策に関連する共通原則と価値を共有。緊急措置が、開放、無差別、及び現状維持についての国際的なコミットメントを尊重し、内外投資フローの自由な流れを奨励する目的と整合的であることを誓約。OECDが、関係国際機関と協力して各国の投資措置について報告を行うこと、及び国際投資における共通利益の問題について共有された理解を深めるために協議を継続することを歓迎。
4.適切性・健全性・透明性
- 国際ビジネスや金融の実施に関する一連の共有基準及びプロセスを策定する必要性に合意。そのため、レッチェ・フレームワーク及び持続可能な経済活動のための世界憲章に関連するOECDの作業を歓迎。企業の社会的責任(CSR)を推進し、多国籍企業行動指針のアップデートに関わる協議を歓迎。
- 外国公務員への贈賄に関する捜査及び起訴は自国の経済的利益に対する考慮に影響されてはならない。
- OECDモデル租税条約における透明性及び情報交換の原則への全世界的コミットメントを歓迎。グローバル・フォーラムのメンバー拡大を含む強化を歓迎し、断固とした完全な相互審査(peer review)の実施及び効果的実施を確保するための防護措置に関するツールボックスの策定を支持。