(1)ドナルド・J・ジョンストンOECD(経済協力開発機構)事務総長は、3月13日(月曜日)、14日(火曜日)に開催されるOECD経済産業諮問委員会(BIAC)租税委員会関連の各種会合に出席するため、12日(日曜日)~16日(木曜日)の日程で来日した。今次訪問は、1996年よりOECD事務総長を務めたジョンストン事務総長にとり、最後の訪日との位置付け。
(2)ジョンストン事務総長は、今次訪日の機会をとらえ、関係閣僚と意見交換を行ったほか、在任10年間に亘る同事務総長の貢献に鑑み、麻生外務大臣がレセプションを開催した。(今次表敬・意見交換を行った閣僚:鈴木官房副長官、谷垣財務大臣、二階経済産業大臣、小池環境大臣、与謝野金融・経済財政政策担当大臣。)
(3)また、産業界との関係では、奥田・日本経団連会長との懇談等を行ったほか、我が国経済界の要人が多数出席する会合にて意見交換を行った。
(1)産業界が関心を有する二重課税事案の紛争解決手法に関して検討する会合に、ジョンストン事務総長自らが出席することにより、OECDの活動に対する我が国産業界の関心を改めて喚起する契機となった。
(2)OECDに関連する主要閣僚や産業界との意見交換を通じ、我が国の経済構造改革の進展や経済情勢に対して、OECDとして前向きな評価を行っていることが確認された。また、我が国のOECDに対する知的、人的、財政的貢献に対して、改めてハイレベルで深甚なる謝意が表明された。
(3)麻生大臣主催レセプションには、OECDに関連する政界、経済界、官界より約120名の関係者が出席し、ジョンストン事務総長をはじめとするOECD側関係者との有意義な意見交換の機会となるとともに、交流を深めることができた。
(1)国際的な租税紛争たる二重課税事案の解決は、政府間の相互協議によるのが一般的。各租税条約では、二重課税を受けている者から相互協議の申立てがあった場合、政府当局は、合意に基づき二重課税を解決するように努めることとされている。
(2)OECD租税委員会では、産業界からの要請も踏まえ、相互協議を含む租税紛争解決のあり方を議論する共同作業部会を設置。
(3)今回の東京会合は、同作業部会として、本格的なビジネスコンサルテーションを実施するものであり、特に、「効果的な相互協議手続のオンラインマニュアル」(MEMAP)と「仲裁(Arbitration)内容」について議論を行った。
13日 紛争解決に関するOECDビジネスコンサルテーション
14日 BIACビジネスデー(OECD諸国の税制改革の動向に関するセミナー)
(1)ジョンストン事務総長、シュローゲルOECD事務次長、ジン・ロイ・リューBIAC会長等OECD関係者の他、小池百合子環境大臣、金田勝年外務副大臣、伊藤信太郎外務大臣政務官、外務大臣政務官、遠山清彦外務大臣政務官等政府関係者、関係議員、経済界関係者、OECD加盟国在京大使等が多数出席(計約120名が出席)。
(2)歓迎挨拶の中で、麻生大臣は、ジョンストン事務総長が10年間にわたりOECD事務総長として、世界経済の健全な発展のためにOECDが貢献すべくイニシアティブを発揮するとともに、OECD自身の改革にも積極的に取り組んできたことを評価。また、欧州からの視点が多かったOECDの議論に、太平洋の視点を持ち込むことに貢献したことも評価し、OECDが今後も、経済社会分野において、政治的にも高いレベルの関心を集める機関として発展していくことに期待を示した。
(3)これに対し、ジョンストン事務総長は、挨拶の中で、事務総長として最後の公式訪問となる機会に盛大なレセプションが開催されたことに感謝の辞を述べた後、OECD事務総長を務めた10年間は国際社会にとってチャレンジングなものであったと述べた。また、OECDの活動に対する日本の知的、財政的支援に謝意を表するとともに、これまで任務を遂行してこられたのは、自分をとりまく人達のおかげであり、日本からの人的貢献に対しても感謝の辞を述べた。