平成19年2月23日
- 対イラク緊急無償資金協力
(1)2月23日(金曜日)、我が国は、イラクに対する人道復興支援として、国連開発計画(UNDP)、国連児童基金 (UNICEF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際移住機関(IOM)、国連世界食糧計画(WFP) 及び世界保健機関(WHO)に対し、総額1億450万ドルの支援を行うこととした。
(2)平成18年5月に発足したイラク新政府は、宗派・民族間対立の激化等の厳しい情勢の中、「イラク・コンパクト」(注:イラク政府のイニシアティヴによるイラクの国造りに向けた国際社会とのパートナーシップに関する文書)策定を含め、イラクの国造りに取り組んでいるところ、我が国としては、こうした政府開発援助等により、引き続きイラクの復興を支援していく考えである。
- 支援の具体的内容
(1)本件支援は、イラクの国民和解促進の観点から、地理的には、スンニー派やクルド地域にも配慮しつつ、内容的には、基礎的生活分野(保健、避難民、食糧支援)、治安(警察支援、国境管理、民兵等の社会復帰)、人材育成(ムサンナー県)等に資する案件を、主に平成18年度補正予算により、国際機関経由で実施する。
(2)具体的案件及び積算は次のとおりである。
- (イ)基礎的生活分野:7,360万ドル( 1)、2)、3)は保健、4)、5)は国内避難民、6)は難民、7)は食糧
支援)
-
1) ティクリート総合病院及びラマーディー総合病院整備計画(国連開発計画(UNDP):3,800万ドル)
*治安状況により未整備となってきたスンニー派地域の主要2病院の整備。
2) イラク北部地域紛争被害者支援計画(国連開発計画(UNDP):1,210万ドル)
*クルド地域の地雷や化学兵器等による被害者に対する医療支援。
3) イラク北部3県基礎的母子保健サービス強化計画(国連児童基金
(UNICEF):700万ドル)
*クルド地域で整備の遅れている母子保健センター等に対する医療支援。
4) イラク国内避難民支援計画(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):500万ドル)
*宗派・民族間対立の激化により発生している国内避難民及び受入れ共同体支援(北部・南部に重点)。
5) イラク国内避難民及び受け入れ共同体安定化計画(国連移住機関(IOM):4400万ドル)
*宗派・民族間対立の激化により発生している国内避難民及び受入れ共同体支援(中部に重点)。
6) シリアとヨルダンにおけるイラク人避難民支援計画(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):450万ドル)
*宗派・民族間対立の激化によりシリア及びヨルダンに流出したイラク人難民及び受入れ共同体支援。
7) イラクの脆弱者に対する食糧支援計画(国連世界食糧計画(WFP):300万ドル)
*栄養状況が悪化している児童、家族、及び妊産婦に対する食糧支援。
- (ロ)治安関連:2,300万ドル( 1)は警察支援、2)は国境管理、3)は民兵等の社会復帰)
- 1) バスラ県法執行機関キャパビル計画(国連開発計画(UNDP):600万ドル)
*イラクの石油や物流の重要拠点であるバスラ県の治安改善のための警察支援。
2) イラク南部における統合的国境管理計画(国際移住機関(IOM)700万ドル)
*イラク南部の不法な人や物資の流れを阻止するためのイラク国境管理関係当局に対する支援。
3) イラク人間の安全保障及び安定化計画(国際移住機関(IOM):1,000万ドル)
*イラクの治安改善の障害となっている退役軍人や民兵等に対する職業訓練等の社会復帰支援。
- (ハ)人材育成関連:790万ドル( 1)は保健分野の、2)はそれ以外の民政分野のキャパビル)
- 1) ムサンナー県のキャパビルを通じた保健サービスアクセス向上計画(世界保健機関(WHO):390万ドル)
*ムサンナー県の医療分野の人材育成を通じた同県の保健サービス能力強化支援。
2) ムサンナー県のキャパビル及び機構強化計画(国連開発計画(UNDP):400万ドル)
*ムサンナー県の電力、給水等の分野の人材育成を通じた同県の行政サービス能力強化支援。