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パプアニューギニアにおける火山噴火災害に対する
国際緊急援助隊専門家チームの派遣について

平成14年9月9日

1.国際緊急援助隊専門家チーム派遣の背景

避難所で役に立っていた日本の援助物資
避難所で役に立っていた日本の援助物資
  火山活動を続けるパゴ山
火山活動を続けるパゴ山


 本年8月5日にパプアニューギニアの西ニューブリテン州ホスキンス近郊にあるパゴ山が突如噴火して、溶岩流が流出し、強い酸性の火山灰が排出した。付近の住民約10,500人が緊急避難し、ホスキンス空港や多くの学校など公共機関が閉鎖され、また、火山灰により水源地や畑、主要産業であるココナツ油のプランテーションなどが甚大な被害を受けた。
 これに対し、我が国はパプアニューギニア政府に対し、約900万円相当の緊急援助物資(ポリタンク1,400個、タオル1,400枚、テント20張、発電機12台、コードリール12台)の供与を決定し、8月22日、折しもパプアニューギニアを訪問中であった植竹外務副大臣とピーター・バーター省庁間調整大臣との間で同物資の引渡式が行われた。  更にパプアニューギニア政府から、我が国政府に対し、火山噴火予知・防災の専門家チームの緊急派遣の要請があり、我が国として8月25日から9月3日まで、外務省、国際協力事業団(JICA)より各1名、気象庁および東京大学より火山研究者3名の計5名から成る国際緊急援助隊・専門家チームを派遣した。

2.目的および活動内容

ヘリコプターから火山を観測
ヘリコプターから火山を観測
  道なき道を観測地まで移動
道なき道を観測地まで移動


 今次チームの派遣目的は、火山噴火による噴火情報のモニタリング及び同モニタリングの結果に基づく火山噴火予知、及び地方政府等に対する防災の助言・指導を行うことであった。
 26日、同チームは、被災地のパゴ山周辺に赴くと、すぐに地震観測、火山灰・溶岩の採取及び熱分布図の作成を行うとともに、被災者キャンプの視察、現地関係者に対する機材使用方法・モニタリング指導等を実施した。また、ヘリコプターによりパゴ山に向かい、空からの観測を行うとともに、地震計を設置し、温度分布状況の調査するための熱観測など、活発な現地調査を実施した。これらの調査結果から得られたデータを基に、熱映像解析を行うとともに、温度分布図を作成し、また別途、陸路パゴ山火口付近まで登り、火口付近で岩石を採取し、マグマを確認した。さらに、降灰境界図を作成するため、避難住民がもと居住していたパゴ山北西および北東部地域において火山灰の降灰境界確定調査を行った。
 この他にも、同チームは避難所であるケアーセンターを視察し、被災民の現状について(イ)狭い場所に大人数で住んでいるために生じるストレスの増加、(ロ)安全な飲み水の確保がなされていないこと、(ハ)朝晩の冷え込みが原因と見られる呼吸器系疾患の蔓延、といった問題があることを観察した。

3.今次専門家チームの派遣意義

火山灰の調査を行う団員
火山灰の調査を行う団員
 国際緊急援助隊は、1987年9月に「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」(92年6月に改正)が公布されて以来、61チーム、延べ1182人が世界各地の被災地に派遣されてきた。中でも専門家チームは、2次災害や災害の復旧対策に関する技術的助言を行うために派遣されるもので、救助チームや医療チームと同様に、国際緊急援助隊の中でも比較的小規模ながら重要な役割を果たしている。
 今次国際緊急援助隊専門家チームの派遣は、平成11年9月の台湾地震災害以来実に約3年ぶり、国際緊急援助隊としては平成13年1月にインド地震災害以来約1年半ぶりの派遣となったが、パプアニューギニアにおいては、州知事他の政府関係者、火山観測所・防災関係者などから手厚い歓迎を受け、チーム到着時より、今次派遣チームに対し極めて強い期待が寄せられた。
 また、一般市民についても、我が国の専門家チームに関する報道がラジオで頻繁に行われていたことから、チームの活動中に行く先々で避難民や住民からラジオで聴いたと声をかけられ、現地関係者、被災民から連日感謝の意の表明が多数寄せられた。  



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