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ザンビア・ノンプロジェクト無償資金協力評価

1.テーマ:「ノン・プロジェクト無償資金協力の評価」

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2.国名:ザンビア
3.評価者他:
 ザンビア財務・国家計画省経済/技術協力局ノドフ局長
 調査実施コンサルタント:NSコンサルタンツ
4.調査実施期間:平成18年2月27日~3月31日

5.評価方針

(1)目的
 平成11年度及び12年度、我が国はザンビア政府の取り組む経済構造改善努力を支援するためにノン・プロジェクト無償資金協力(供与額共に15億円)を供与した。今次評価では、同スキームによる我が国の協力を通じ、ザンビア政府が行った中小企業育成のためのプログラムの適切性、妥当性、効果及び提言を取り纏めることを目的とした。

(2)対象・時期
 ザンビア政府は我が国ノン・プロジェクト無償資金協力による資金を国内の民間企業を中心とした114社に各事業実施・拡大に必要な機材・機械の調達に充て、中小企業育成のためのプログラムを実施した。各企業はザンビア政府に対し機材・機械の対価契約後一定期間内に返済することとなっていた。今次評価では、評価調査業務を実施したザンビアのコンサルタント会社「NSコンサルタンツ」が、上記114社の中から事業内容、地域配分等を勘案し27社をサンプルとして選び、アンケート、インタビュー等を実施した。

(3)方法
 調達機材・機械の使用状況及び各受益者の事業実施の現状を調査するとともに、関係省庁、機材・機械調達機関より関連情報を収集した。

6.評価結果

(イ)目的の妥当性
 ザンビア政府の暫定中期支出枠組みの中では「持続的成長、雇用創出を通じた貧困削減」が重要開発課題の一つとなっており、中小企業育成を目的とする本プログラムに対する支援の妥当性は高かった。

(ロ)実施プロセスの適切性

(a)

受益者公募及び審査
 財務・国家計画省は、本プログラムによる融資対象と条件を明記した新聞広告を掲載し対象者を公募した。受益者審査は技術委員会を設置し、得点表(応募企業の資本金、応募案件の環境配慮の他、弱者への裨益、応募企業の担保等の判断基準を設定)を用いて厳正に実施された。但し、サンプルの中には、受益者決定のための選定会議に関する議事録は残っていないケース、審査の段階で、ザンビア政府が応募者の事業実施予定地を実際に訪問し点検をするというプロセスがとられなかったケースなどが散見された。

(b) 機材・機械の調達
 機材・機械の調達機関による機材・機械の調達に時間を要した事例があった。また、同調達機関と受益者、調達機関と財務・国家計画省間の情報伝達が不十分であったため、受益者毎の貸出資金の返済利子の起算日等が不正確となったケースが見られた。
(c)

受益者選定後の関係省庁の対応
 技術委員会を設置しザンビア政府関係省庁(財務・国家計画省、法務省)との連絡が図られたものの、財務・国家計画省による、各受益者の貸出資金返済モニタリングが不十分であり、記録が残されていない事例があった。


(ハ)結果の有効性
 サンプルの内大半の企業は、本スキームにより調達された機材を使用し、生産や雇用者数を拡大する等利益を上げ、事業実施状況は良好であった。本プログラム実施期間に、農業・漁業・森林及び製造業で雇用の増加が認められた。右増加は本プログラムが貢献していると考えられる。従って、ザンビア国民の実質所得の増加、生活改善、更には経済発展に本プログラムが寄与した事が確認された。
(a)

調達機材・機械の使用状況及び事業実施状況
 当初の計画通り機材・機械を有効に使用し、事業の実施状況も良好とされたものはサンプルの7割を占めたが、残りについては運転資金の不足等により実施状況が必ずしも良好とは言えないケースが見られた。

(b) 対価の返済状況
 ザンビア政府と受益者の間での契約書に署名が行われなかった等の理由により、サンプル企業(27社)の貸出資金回収率は低くとどまった。ザンビア政府は技術委員会において現状把握に努め、同スキームの未返済受益者に対し対価の返済を求めていくこととしている。
 外務省は、同国におけるザンビア政府によるノンプロ無償への取り組みを確認するため、平成13年度以降ザンビアに対するノンプロ無償の供与は見合わせているが、本スキーム自体の有効性、効果についてはその意義が失われるものではない。また、在ザンビア大使館より、コミッティの場を積極的に設定し先方政府に対し、ノンプロ無償をより有効に活用する体制をとるよう累次申し入れを行っているところである。

7.提言

 上記を踏まえ、今後同スキームにより同様の中小企業育成のための融資を行うに当たり、下記2点を提言とする。

・独立した専門家チームを設置し採択案件の評価選定を行い、資金貸出期間中は活動させる
・独立した資金管理者を置き、案件の選定から債務管理、受益者管理等を行う
注1) 上記は、評価者が作成した英文の評価報告書を元に要約して大使館にて日本語訳したものであり、記載されている内容は、評価実施者の見解であり、日本政府の立場や見解を反映するものではありません。


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