(2000年3月、在イエメン大使館)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
無償資金協力 |
協力年度 |
95年度及び96年度 |
協力金額 |
10億円 |
相手国実施機関 |
農業・灌漑省 |
協力の内容 |
農薬(各種殺虫剤・殺菌剤)、防除用機材・車両(散布機、噴霧機、散布用車両、防護具等)及びトラクター等各種農耕機材の供与 |
<評価要旨>
1.効率性
投入機材のレベル・タイミングはほぼ適切であり、投入の規模に見合った成果も得られ、効率性は確保されているが、トラクターなど農耕機材は農家への配分に1年以上を要したものも多かったことから、農家への販売促進に改善の余地がある。
2.目標達成度
調達された資機材が実際に使用され始めたのは1997年後半から1999年の間であり、穀類、豆類、ジャガイモの1998年の対象面積、生産量及び収穫量は前々年、前年に比して順調に増加したところ、全国的な防除活動の強化、農業の機械化などを通じて、食糧増産の目標はある程度達成された。
3.インパクト
穀類など農産物の生産量及び収穫量が拡大したことにより、農家の所得は向上したことから、本件援助は地域社会に対してある程度の貢献を果たした。なお、当国における防除活動においては食糧増産援助で調達された農薬及び防除機材が欠かせない存在となっており、本援助の浸透度も高い。
4.計画の妥当性
食糧増産援助を通じて当国における防除活動及び農業機械化を支援することは、開発上のニーズに合致しているだけではなく、当国政府は農業資機材調達のための十分な財源を有していないことから、必要不可欠な援助と位置づけられる。
5.自立発展性
調達された全資機材の殆どが防除を目的としたものであり、その大半は農家に販売されず、農業・灌漑省防除局及び各州農業局が管理・使用してきた。防除局は、これら資機材を使った実際の防除活動の他、各種害虫・疫病対策、農薬の安全利用などに関する出版物の発行・配布及び農協関係者・農家を対象とした講習会の開催を通じた啓蒙活動、天敵を利用した防除方法などの研究活動を精力的に行っており、その自立発展性は高く評価できる。
6.環境及びジェンダーヘの配慮・影響
農業・灌漑省防除局は、農薬に関するガイドラインを策定し、使用可能な農薬を定めており、農業普及員による指導などを通じた農薬の安全な使用に関する啓蒙活動を実施している。女性労働人口の90%は農業に従事しており、食糧増産援助を通じて農業の機械化が進むことにより、女性の負担が軽減したといえる。