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外務省とUNDPの合同評価及びセミナー
コソヴォ・東ティモールへの復興支援

1.評価件名:
 外務省とUNDPとの合同評価及びセミナー
 コソヴォ・東ティモールへの復興支援

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2.
国名: セルビア・モンテネグロ コソヴォ自治区、東ティモール
実施機関名: 国連開発計画(UNDP)
3.評価対象案件:
<コソヴォ>
(1) 独立メディア支援プロジェクト(支援総額:1,450万ドル)
(2) 住宅建設及び電化プロジェクト(支援総額:1,999.8万ドル)
(3) 学校修復プロジェクト(支援総額:270万ドル)
(4) 煉瓦工場修復プロジェクト(支援総額:373.7万ドル)
(5) ゴミ収集プロジェクト(支援総額:303万ドル)
<東ティモール>
(1) ディリ水道施設改善プロジェクト(支援総額:1,128万ドル)
(2) ディリ~アイナロ~カーサ間道路緊急修復プロジェクト支援総額:(470万ドル)
(3) 緊急灌漑施設復旧プロジェクト(支援総額:336万ドル)
(4) 地方発電施設改修プロジェクト(支援総額:239万ドル)
(5) コモロ発電所改修プロジェクト(支援総額:310万ドル)
(6) ディリ港航路標識及び防舷材改修プロジェクト支援総額(265万ドル)
4.評価調査団:
<日本側>
 広野良吉 成蹊大学名誉教授(団長)、米澤慶一 ニッセイ基礎研究所副主任研究員
<UNDP側>
 ラフィーディン・アマド UNDP前副総裁、ジャイルス・ウイットコム 独立コンサルタント
5.調査実施期間: 2001年3月12日~12月28日
6.プロジェクトの分野:
 国際緊急援助(通信、運輸・交通、教育、電力、水道、農業土木)
7.評価の目的:
 日本政府が国連開発計画(UNDP)を通じてコソヴォ、東ティモールにおいて財政支援した緊急・復興支援プロジェクトの進捗状況を評価すること。
 これらの評価を通じて、紛争後における今後の我が国復興支援のあり方及び国際機関との効果的連携に貢献し得る政策提言をおこなってもらうこと。
8. 評価結果:
 日本政府資金拠出・UNDP実施による本全案件は、緊急性を求められる制約条件等を加味した場合、総じて受入地域当局および裨益住民のニーズによく応えたものと判定される。また、業務実施進捗状況も総じて満足すべきものである。
 但し、今後同種の案件を実施する上で、より効率的かつ効果的な援助を実現するために、幾つかの要改善項目を挙げることができる。
 紛争後支援は、その性質上緊急性が最優先されるにも関わらず、我が国援助において過去に参考となる事例が充分ではないため、適切なタイミングで適切な資金・機材・人材を供給し得る体制が整っていないケースが多く、本件もその例外ではない。従って、次の諸点に配慮した支援体制の整備が今後の課題となる:
援助プロジェクトの形成、計画、資金調達、実施の各段階において、より一層の柔軟性を確保する
現地における効果的な協力体制の構築
現地カウンターパートの個人的・組織的な援助の受入能力の向上
現地利害関係者の開発案件過程(計画・実施・監理)への参加を拡充し、組織化を図る
ドナーと受入カウンターパート間、そしてドナー間の相互協力に係る戦略的枠組の構築
復興・開発の過程を透明性をもって地域内および世界に伝達する情報公開努力を継続する。
9. 提言:
(1) 「緊急時支援対応基金」(contingency fund)を東京に創設し、通常の無償資金協力等とは異なった、即時対応性に富んだ資金協力体制を確立する。
(2) 特に東ティモールにおいて、草の根支援スキームのより柔軟な運用により、我が国政府関連現地駐在事務所の権限を増大し、現地ニーズにより即応した援助実現を図る。
(3) コソヴォにおいては、日本人現地常駐ミッションの創設ないしは拡充を行ない、さらに現地への権限移譲を拡大することによって、現地スタッフの士気および人材の質的向上を促進する。
(4) 現地関係当局、利害関係者、そして諸ドナーの参加を促しつつ、セクター別開発マスタープランを策定する。これにより援助総体のより一層の体系化と効率化を実現する。
(5) 現在、東ティモールにおいてUNDPが実施する各プロジェクトを管理するために導入されているPCC(Project Coordination Committee)やPWC(Project Working Committee)等の制度的手法を、今後の類似支援案件にも導入することによって、ドナー側のみならず現地関係者との情報の共有を図り、援助の効率化と一定の質的水準を確保する。
(6) 紛争後支援実施にあたり、比較的早い段階において評価ミッションを派遣し、援助プログラムないしはプロジェクトの効果を可能な限り早期に測定することが望ましい。中間評価が早期であればある程、その結果に基づく軌道修正がより実現可能となる。
10. 外務省からの一言:
 東ティモールでは、紛争後、速やかに調査団が現地に入り、ニーズを調査するとともに、セクター別に復興に関するリストを作成した。この結果、体系化された適切な復興支援が実施できたと考えている。今後の復興支援についても評価の提言を踏まえて効果的、効率的な支援を行っていきたい。


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