1.評価対象プログラム名:
トルコ・水力発電事業による電力供給の改善 |
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国 名:トルコ
実施機関:国家水利庁(DSI) |
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3.援助形態:
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ハサンウールルダム及び水力発電建設計画(発電設備増設を含む)/プロジェクト借款/1971、1978年度/17,502百万円 |
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アルトゥンカヤ水力発電所計画/プロジェクト借款/1983年度/15,400百万円 |
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4.評価実施機関名:在トルコ大使館 |
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5.現地調査実施時期:2001年2月21~23日 |
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6.プログラムの分野:エネルギー |
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7.政策目的又は政策の方向性:経済社会開発の促進、電力需給の改善 |
8.当該プログラムの目的
50年代より年率10%以上(この傾向は50年代初めから77年頃まで継続、61、70、74年のみ10%以下、最大19.2%(1976)の伸び)の急速な伸びを示していた電力消費に対応するため、トルコ政府は、石油の輸入がトルコの国際収支改善にとって負担となっていたことを考慮して、国内の豊富な水資源を活用した水力発電を積極的に実施することとした。これを受け、1年当たりの電力消費の伸び量(計画当時)を上回る1,215GWh、1,632GWhの発電能力を有する水力発電所を建設することにより、トルコの電力需給事情の改善に寄与する。
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9.評価結果
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石油危機によるインフレ及びトルコリラの下落による資金不足により、当初の計画より若干遅れたものの、ハサンウールル水力発電所は79年(当初76年完成予定)に、アルトゥンカヤ水力発電所は88年(当初87年完成予定)に完成した。 |
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ハサンウールル水力発電所は1,215GWhの年間発電能力、アルトゥンカヤ水力発電所は1,632GWhの年間発電能力を有し、両発電所建設完了時のトルコ総発電量27,347GWh(1983年:増設の完工時点)、48,049GWh(1988年)に比してそれぞれ4.4%(水力発電による発電量の10.7%)、3.4%(同8.6%)の発電規模を誇る開発であること、また発電所完成以降、年度によって差異はあるものの、年間発電能力レベルの発電
量を保ちつつ概ね流入量に応じた稼働を行っていることから、トルコの電力需給の改善に大きな役割を果たしたと言える。
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| (3) |
これら2案件は、完成からそれぞれ約10、20年を経過しているが、適切な管理下におかれていると共に、十分な技術者が配置されていることを確認した。また、トルコ側関係者は、これまでのところ、これら発電設備に大きな故障が発生していないとして、日本の技術に高い評価を与えている。
特にハサンウールル発電所は、水力発電開発に力を入れ始めた60年代に計画された案件であると共に、トルコ政府が黒海地域での水力発電開発に着手した先駆け的プロジェクトでもあり、日本からトルコへの技術移転の成功例としてトルコ側関係者にとってインパクトの大きい協力案件となっている。
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10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言)
本件2プロジェクトの採択を検討した頃に比べ、2~30年が経過した現在では、トルコ政府のエネルギー政策は民営化・自由化の方向に転換されている。今後は民間活力も活用し、当該分野の事業が多く実施されるものと考える(ただし、現状は移行段階にあり、一部事業についてはまだ国家水理庁が実施している)。また、既設及び建設中の発電所についても、今後発電所そのものや運営権が民間に売却されることとなっており、今後は、円借款を通じて建設した発電所においても、運営・維持管理など可能な分野においては民間参入を促し、発電所の効率的運用と民間分野育成の視点を持つことも重要となる。政府と民間企業との契約に係る入札、契約等手続の支援なども検討すべき。
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11.外務省からの一言:
両水力発電所は、完成後20~30年経過しているにもかかわらず、その役割を十分に果たし続けており、トルコの経済、産業、国民の生活への貢献が非常に大きい案件である。他方、完成後20~30年経過しているため、当該案件が日本の援助によるものであるとの記憶がトルコ国民の意識から薄れてきているので、今後、当該プロジェクトの意義及びトルコに対する貢献に関する広報を積極的に行う必要がある。
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