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シリア・電力技術研修所建設計画(1/2, 2/2期)

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 電力技術研修所建設計画(1/2, 2/2期)

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2. 国   名:シリア・アラブ共和国
実施機関名:電力省発送電公社
3.援助形態 無償資金協力
  96年度:10.22億円 
  97年度:6.49億円
4.評価実施機関名:在シリア大使館
5.現地調査実施期間:2001年 1月20日
6.プロジェクト・プログラムの分野:エネルギー、人的資源
7.政策目的又は政策の方向性:
 電力等基本インフラ分野の整備
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
 機械、電気、計測制御関係の発電所運転保守要員に対する教育・訓練研修を行うための電力技術研修所を建設し、研修に必要となる機材を供与することにより、運転保守要員の技術・技能が向上し、発電所の維持管理・運営が適切になされ、もって発電出力・効率・電力供給の品質の向上に資することを目的とする。
9.評価結果:
 管理棟、研究室、ワークショップ等の各施設の建設は、良好に施工されており、特に問題は見当たらなかった。また、同研修所における研修の実施実績について見ると、研修受講者数は毎年増加しており、2000年においては、当初計画目標値の延べ254人に対し、延べ316人の受講者が研修に参加した。また、研修終了後の受講者へのアンケート結果では、本件プロジェクトは、大変有益であった旨の回答が多数寄せられた。今後、これら研修受講者が各発電所の現場で研修で学んだ技術・知識を十分に活用することが期待される。
 同国では、逼迫する電力需要に対応するため、発電所を計画的に停止し所定のメンテナンスを行うという余裕がなかったことに加え、そもそも運転保守要員の教育訓練を体系的に行う研修計画・機材がなかったことから、これまでほとんど計画的に取り組まれておらず、頻繁な停電事故等が発生していた。本件プロジェクトは、発電所運営における維持管理・保守の重要性を認識させ、運転保守要員に具体的かつ必要な維持管理・運転保安技術を習得させることを可能にした点で、極めて有効かつ効果的なものであったものと思われる。他方、研修の実施期間、内容、運営及び研修指導員のレベルの向上については改善の余地があると思われるところ、今後、シリア側の自助努力に加え、適切なフォローアップが必要と思われる。
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 シリアの電力セクターにとって建設済み発電所を如何にして効率よく効果的に運転・運営していくことができるかが重要になってくることから、本件プロジェクトの重要性は今後一層増すものと思われ、引き続き技術協力・指導を行う必要があるものと思われる。
 また、シリアには天然ガスが多く埋蔵されているが、一方で、発電所からの排出ガスによる大気汚染や地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出が問題になっているところ、高効率かつ環境負荷の低い天然ガス利用複合発電所への既存発電所の転換に対し、積極的に支援して行くことが重要であると思われる。
11.外務省からの一言:
 シリアに対しては、電力センターへの支援として、本件の他にも火力発電所のリハビリ等を実施しており、全体として同セクターの改善に我が国が大きく貢献している。特に、停電が軽減・解消されることによって、本件援助が市民生活の向上に直接寄与しているとの状況は、援助の目に見える効果として適切なものと考えている。今後とも優良案件の発掘に心がけていきたい。


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