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シリア・97年度食糧増産援助(2KR)

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 97年度食糧増産援助(2KR)

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2. 国   名:シリア・アラブ共和国
実施機関名:農業農地改革省
3.援助形態:無償資金協力
 97年度:4.5億円
4.評価実施機関名:在シリア大使館
5.現地調査実施期間:2001年 3月28日~29日
6.プロジェクト・プログラムの分野:農業、環境
7.政策目的又は政策の方向性:
 安定した持続可能な農業開発
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
 農作業の機械化・効率化・高度化を図るため、トラクター等の農業機械を農家に供与し、これらを有効活用することで、持続的な農業開発及び単位面積あたりの増収を通して食糧増産に資すること。
9.評価結果:
(1) 供与されたトラクター計287台は、港から荷揚げ・搬送中に故障が生じた1台を除き、全て農家に売却されていた。エンドユーザーである現地農家を往訪したところ、供与されたトラクターは年間を通じて高い稼働率(ほぼ毎日約5時間程度使用)で有効活用されており、また、食糧増産援助(2KR)については極めて高い評価がなされ、我が国援助に対する強い感謝の念を有していることが確認された。
(2) 供与された機材の維持管理は、基本的には各農家によって行われており、農業局は、各農家の要請に応じ操作・維持管理方法に関する技術指導を行っている。しかしながら、一部の農家においては、基本的な整備(オイル交換、エアーフィルター交換等)に関する十分な知識を有していないものと思われ、引き続き操作・維持管理方法につき、指導を行っていく必要があるものと思われる。
 スペアパーツは農業局の倉庫に台帳とともに保管されており、必要に応じて農家に売却されている。また、運転時間が2,500hに達すると農業支局のワークショップにおいて総点検を行うことになっており、簡単な点検・整備以外の修理については、基本的に民間の修理工場にて行うことになっている。こうしたことから、機材の維持管理体制及び問題が生じた時の対応体制については、整備されていることが確認された。
(3) 今回供与機材の中心的配布地域であるデリゾール県における主要農産物の作付面積、単位面積当たり収穫量のデータによると、シュガービートの単位面積あたり収穫量は増加傾向が見受けられるものの、小麦、トウモロコシについては、横這い状況であった。これは、機材が実際に使用され始めてから未だ1~2年しか経過していないことに加え、ここ数年にわたるデリゾール県を中心とした大干魃による収穫量の減少等の原因によるものと思われる。したがって、現時点において本件事業効果を定量的に評価することは困難であるものと思われるものの、本件供与機材により効率的な農作業が可能となったことから、今後事業効果が明確に発現してくるものと思われる。
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 シリアにとって農業は、GDPの約2割を占め、かつ全労働者の約3割を吸収するなど最も重要な産業であり、国民への食糧供給、農産加工等の諸産業への原料供給等これらの産業の発展に寄与している。しかしながら、農業生産は国内需要に追いつかず、輸入に依存しているものもあり、これまでの国家開発計画においても農業開発及び産業基盤・環境の整備が最重要課題として位置づけられている。今後の我が国支援の方向性としては、シリアにおける食料の生産、特に穀物の生産は降雨量に大きく左右される天水依存型の農業であることから、右状況を改善するための灌漑施設の普及及び高度化を図るとともに、引き続き農業機械化による効率的農業生産を図るための支援を行うことが重要と思われる。
11.外務省からの一言:
 本件に対する高い評価が直接の裨益地域である農村部だけでなく、都市部を含めた形で全国的にも知られるような積極的な広報を行なっていきたい。


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