1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
放送施設整備計画 |
(クリックすると画像が変わります)
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国 名:セネガル
実施機関名:情報通信省セネガル国営ラジオ・テレビ公社(注) |
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3.援助形態: |
無償資金協力
86年度 9.00億円、
87年度 9.90億円 |
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4.評価実施機関名:在セネガル大使館 |
5.現地調査実施機関:2001年3月30日 |
6.プロジェクト・プログラムの分野:放送・通信 |
7.政策目的または政策の方向性:
経済基盤整備、放送インフラの整備 |
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
セネガル国営ラジオ・テレビ公社(RTS)に対してスタジオ及び放送機材を供与して、セネガルの放送の充実、ひいては国内の識字、教育の向上に資する。 |
9.結果評価:
供与された機材、設備については、供与開始後10年以上経過して老朽化しているにもかかわらず、点検、整備されて全体的によく使われている。また、セネガル国内の主要な情報源として、この10年の間に着実に定着し、この結果として
(1) |
テレビ番組の大部分がフランス語だったが、他にも6つの現地語による放送が行われ、保健衛生情報の伝達や自国の多様な民族文化の紹介も行われるようになった。 |
(2) |
ラジオ放送に新たにFM放送が加わった。 |
(3) |
ラジオの放送時間が、従来、午前6:00~午前00:00までであったが、24時間放送になった。 |
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テレビの放送時間が1日4時間から曜日によって違いはあるが12時間以上放送されるようになった。 |
概して、テレビ放送については受像器が、当地の物価水準からみて高価であるにもかかわらず、実態として1台のテレビには多くの人々が集まっており、テレビを通して、視覚を通して世界の様々なニュースに接することにより、結果としてセネガルの民主主義の定着にも大きな役割(例:2000年大統領選挙に際する公正な報道)を果たすなど、広くセネガル国民に裨益しているものと考えられる。しかしながら、現行の放送機材は、最近の機器に比し性能がかなり陳腐化しているだけでなく、老朽化に伴い、放送にも支障が出ており早急に更新する必要が出ている。
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10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
国内の通信インフラが脆弱な同国では、テレビは、情報媒体としてだけでなく、教育・文化の普及手段という面からも重要な媒体であり、また、IT(情報通信)技術の急速な発達の中で、世界的な情報格差の解消が課題となっている中で、同国のテレビ放送に対する協力は、その解決手段の一助となるものと考えられる。 |
11.外務省からの一言:
(1) |
本件放送施設の拡充は、公用語仏語に加えて6種類の主要言語が使用されている当国において、統一国家としての国民意識を高揚する目的で計画されたものである。地方での文盲率が85%と高い水準にあった当時、全国誰にでも広く公平に行き渡るという電波の特質に注目し、基礎教育を十分に受けていない多数の国民(主に地方農民)に対する文化、情報の発信と教育機会の保障を企図したものである。さらに、2000年の大統領選挙の際見られたように、本件放送施設の拡充によって、より多くの国民がより容易に政治に接する機会を得たが、これは、民主化のための基盤整備にも貢献したといえる。 |
(2) |
現在、セネガルでは国民の教育も比較的広く行き届いており、また、国際情勢に対する国民の知的好奇心も高い。そうしたことから、同国における放送施設の改善は教育水準の更なる向上、情報格差の解消に貢献するものと考えられる。 |
(3) |
九州・沖縄サミットに際し、IT憲章が発表され、我が国も積極的にITを活用したデジタルディバイド解消に向けた支援を実施することとなった。本件は同国におけるITを通じた支援の一環として期待出来るものであり、今後とも同様のプロジェクトの支援は重要である。 |
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注:2001年5月の内閣改造時に、セネガル国営ラジオ・テレビ公社は、首相府所管となった。)