広報・資料 報告書・資料

サウジアラビア・
北部紅海沿岸生物環境・生物インベントリー

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 サウジアラビア北部紅海沿岸生物環境・生物インベントリー調査

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2. 国   名:サウジアラビア
実施機関名:野生生物保護委員会(NCWCD)
3.援助形態:開発調査 1996年度~1999年度
4.評価実施機関名:在サウジアラビア大使館
5.現地調査実施期間:2001年2月2日~2001年2月8日
6.プロジェクト・プログラムの分野:環境
7.政策目的又は政策の方向性:
 日サ協力アジェンダ「環境」分野の協力の一環として、当国の環境保護政策を支援する。
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
(1) 紅海の北部沿岸(サウジアラビア側)約1,000kmを対象に、自然環境及び生物多様性の保全及び適正な管理に資するための基礎情報を整理し、生物環境図及び生物インベントリーを作成すること
(2) 調査の過程において、サウジアラビア側のカウンターパートに対し調査手法に係る技術移転を行うこと。
9.評価結果:
(1) 当初の計画どおり北部紅海沿岸に係る基礎的な生物インベントリーが作成された。本件プロジェクトは、我が国とサウジアラビアの間で98年10月に合意した日サ協力アジェンダの協力5分野の内の1つである「環境」分野における協力プロジェクトの1つとして進められ、日サ両国の関心分野での協力の成功例となった。
(2) 本件プロジェクトで用いられた自然環境及び生物の生存状況を把握するための調査手法は、実際に本件プロジェクトの調査に関わった野生生物保護委員会(NCWCD)職員(サウディ人)にも移転された。本件プロジェクトの調査に関わったNCWCD職員のうち、約7割の者は現在もNCWCD職員として同部署又は関連部署に勤務していることから、調査時に移転された技術は、NCWCD内で現在も役立っていると考えられる。
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
(1) 北部紅海の自然環境及び生物を保全し、適正に管理するためには、北部紅海地域における漁業従事者の活動状況等を無視することはできない。今後、自然環境及び生物を保全していくためには、漁業禁止区域の大幅拡大等ある程度の規制を導入・強化する必要性が生じると思われる。
(2) 規制の導入・強化は、本件プロジェクトのサウジアラビア側カウンターパートである野生生物保護委員会(NCWCD)単独ではできない。気象環境保護庁(MEPA)をはじめ、農業水資源省水産部局、海水淡水化公団(SWCC)、農業水資源省水資源局、交通省、違法操業を取り締まる沿岸警備隊並びに海浜公園の所掌である都市村落省等、数多くの関係省庁と協議し連携することが不可欠と思われる。本件調査においても、社会環境調査を行っているが、今般の現地調査により当該地域における漁業は生活の中心であり、当該地域住民の生活と極めて密接に結びついていることが判明した。
(3) 紅海の生物保全には、サウジアラビアのみに対する協力の意味合いを越えて、世界的な遺産である紅海に生存するユニークな生物を保全する意味もあるので、既に他の調査を開始している国際機関や他のドナー国との共同調査や近隣諸国との国際セミナー等も検討する必要がある。
11.外務省からの一言:
 サウジアラビアのリヤド市にて、2002年1月に開催される国際セミナーにおいて、本件調査の成果を発表の上、紅海沿岸域の環境保全のための協議を行い、今後の多国間協力を円滑に行なうための基盤を構築する予定である。


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