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ルーマニア・フロレアスカ救急病院・
グリゴレ・アレクサンドレスク病院医療機材整備計画

1.評価対象プロジェクト:
  ルーマニア フロレアスカ救急病院・グリゴレ・アレクサンドレスク病院医療機材整備計画

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2.国名:ルーマニア
  実施機関名:フロレアスカ救急病院、グリゴレ・アレクサンドレスク小児病院
3.援助形態: 無償資金協力
 実施年度:1998年度/協力金額:9.39億円
4.評価実施機関名: 在ルーマニア日本国大使館
5.現地調査実施期間:2001年3月1日~2001年3月2日
6.プロジェクトの分野:医療分野
7.政策目的又は政策の方向性:医療サービスの質の向上
8.プロジェクトの目的 :
 (フロレアスカ救急病院)ブカレスト市民に対し圧倒的プレゼンスを持つ同病院に医療機材を導入することにより、救急部門の医療サービスの充実と高齢化による救急患者増加への対応改善を図る。
(グリゴレ・アレクサンドレスク小児病院)基礎的な医療機材供与による保健衛生サービスの充実により他の東欧諸国に比して著しく高い乳幼児死亡率の低下への寄与を図る。
9.評価結果:
(1)両病院とも、最新機材の導入に問題は生じず、活動規模を維持しつつ供与機材をフル活用している。フロレアスカ病院では、画像診断部門機材や手術関連機材が大幅に改善されたことで、2000年には対前年比11%増加した患者数にも問題無く医療サービスを提供できた。又グリゴレ・アレクサンドレスク病院では画像診断装置、検査機器、手術機材の更新により、手術中、術後の管理・衛生面まで含めて確実に医療活動の質が向上していることが判明した。特筆すべきは、本件機材供与に伴い新設された新生児集中治療室(NICU)で、稼動開始以前に比べ新生児死亡率が約7割から約4割と劇的な減少を見ていることで、病院側も国内ではまだ国際的基準を満たす稀な同NICUを必要とする患者数が今後とも増加するだろうと推測している。
(2)また、両病院に派遣されている青年海外協力隊員の活躍により、医師や看護婦の医療技術レベル、衛生概念等も着実に改善されており、病院全体が日本の援助を踏み台として更に高度な医療サービス提供に向けて躍進している様子がうかがわれた。このプロジェクトは、市場経済移行期にあって最も緊急に援助を必要とするBHN(基礎生活分野)における支援として、我が国の存在を大きくアピールしたものとなった。
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 プロジェクト実施から3年が経過した現在、いまだに市場経済移行期の厳しい経済状況にあるルーマニア政府は医療・保健分野を国家予算の中でも優先事項に挙げている。翻って言えば、この分野は国際機関等からの援助も少なく、当国で最もネックになる分野のひとつであるといえる。例えば、乳幼児死亡率は革命直後の1000人当たり26.9人(OECDデータ)から改善されたものの、未だに1000人当たり18.6人(同99年)と、EU加盟候補国の中でも異常に高いレベルにある。以上のことから、我が国は引き続き医療・保健分野におけるルーマニア支援継続を検討していくことが望ましい。また、このプロジェクトにおいては、並行して派遣された青年海外協力隊の活動が医師・看護婦の質を向上させているだけでなく、供与機材の有効活用にも貢献している。このことから、今後の同様のプロジェクトにおいても、青年海外協力隊派遣を含めた技術協力との連携をはかることが望ましい。
11.外務省(本省)からの一言:
 市場経済移行期の激しい経済状況にあるルーマニアにおいて、緊急かつ必要な医療分野の本件支援に対してはルーマニア側から高い評価を得ています。また両病院にはその後青年海外協力隊員を派遣するなど、無償資金協力と技術協力との連携という新しい試みとしても優良な案件だったと考えています。無償資金協力においては、必要に応じてソフトコンポーネントの実施や技術協力との連携により技術移転を行っているところですが、今後更にソフト面での協力との連携を強化していきたいと考えています。


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