(2000年3月、在フィリピン大使館)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
草の根無償資金協力 |
協力年度 |
97年度 |
協力金額 |
3,189,028円 |
相手国実施機関 |
アジア財団 |
協力の内容 |
違法漁業監視のための、監視ボート、無線機、監視小屋建築、及び漁業区域指示のための標識設置、漁民のトレーニング・会合に使用する多目的センター建築、トレーニング教材の供与を行った。 |
<評価要旨>
1.効率性及び目標達成度
本草の根無償資金協力案件は、町及びNGOなどの包括的な沿岸資源・環境保全プロジェクトの一部をなすものであり、毒物使用漁及びダイナマイト漁などの違法漁業の監視・取り締まりの実施、漁場の回復が目標であったが、ダイナマイト漁については95%、毒物使用漁は90%、違法漁具使用漁は90%それぞれ減少しており、目標達成度は非常に高いといえる。
2.インパクト
草の根無償による支援を含むプリエト・ディアス町の沿岸資源・環境保全事業は、その実績が認められ、フィリピン全国町連盟が実施する「最優良沿岸保全表彰」の表彰町に選考されたことは、本プロジェクトが他831町にとって応用可能なモデルの提示が可能であったということであり、高い波及効果を持ったことが指摘できる。
3.計画の妥当性(プロジェクト選定・形成の適性度)
監視ボート、監視小屋、無線、標識はそれぞれ違法漁業の摘発、沿岸資源保全に必須のものであり、また多目的センターは漁民がトレーニングや会合を持つため使用されるものであり、本案件の供与物は包括的な沿岸資源・環境保全プロジェクトのニーズと合致する妥当なものであったと判断される。
5.自立発展性
違法漁業の監視については、予算的・人員的・システム的に自立的な継続が可能である。一方プロジェクトの最終目標である漁民の収入向上、漁業以外の生計向上事業の実施については、単発の草の根無償ではカバーしうる範囲ではなく、今後の町、漁業組合、NGOの努力にかかっているといえる。
6.環境及びWID(開発における女性)への配慮・影響
環境保全プロジェクトであるため、環境への配慮そのものが案件の目的である。また、違法漁業監視については、女性の参加はなされていない。
7.今後必要なフォローアップ
標識はブイをナイロンテープで係留するという形をとっていたため、違法漁業者によって切断されたことから、今後はワイヤーに換えるなどフォローアップが必要となる可能性もある。