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フィリピン・公衆衛生プロジェクト

1.評価対象プロジェクト名:
 フィリピン公衆衛生プロジェクト
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2. 国   名:フィリピン共和国
実施機関名:保健省
3.援助形態
 プロジェクト方式技術協力、92-97年
 長期専門家派遣:3名、短期専門家派遣:延べ34名
 日本への研修員受入延べ:12名(結核研究所にて)
 病院長、検査技師、監督要員等関係者に対する研修:4320名
4.評価実施機関名:在フィリピン大使館
5.現地調査実施時期:2001年2月7日~2001年2月8日
6.プログラムの分野:保健・医療
7.政策目的又は政策の方向性:
 エイズ・結核対策への支援
8.当該プログラムの目的:
(1) 地方分権が進められる中、結核対策をもとに地方行政における公衆衛生のモデルを作ること。
(2) 感染症の中で最大死因であり感染力の強さから社会の脅威となっている、結核そのものに対する対策を強化すること。
9.評価結果:
(1) セブ州において、公衆衛生の実施機関となるRHU(保健所)、BHS(村保健支所)に対し、結核対策の研修、記録表の統一・簡素化、精度管理システムづくり等を実施した。プロジェクト終了時に、結核の症状を訴える者に対し、必要な検査(喀痰3回連続検査)を実施することができた割合は、91.4%と高率であった。これも、実施機関の積極的な活動の成果と評価できる。
(2) 効果:プロジェクト終了後の結核患者の治療成績は83.4%(6ヶ月の治療を完了した率)とWHOの掲げる85%の目標にかなり近づき、本件プロジェクトを通じて結核対策が強化されたことが確認された。このような高い成果をもたらした背景には、(イ)プロジェクト開始時点から、具体的な戦略(WTOにより開発されたDOTS)が存在し、それをプロジェクトに積極的に取り入れた、(ロ)(財)結核予防会結核研究所やWTO西太平洋地域事務局との連携など、国内外における現地支援体制が整備されていたことが大きい。
 さらに、本プロジェクトが蓄積した経験とノウハウは、保健省が策定した「国家結核対策計画」に反映され、国家の新たな結核対策としてその普及が図られている。
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 フィリピンは、太平洋諸国の中で結核を患う者、死亡する者の割合が一番高い国である。我が国とフィリピンにおいて培った経験を活かすため、我が国は、今後とも積極的にフィリピンの結核対策を援助するべきであると考える。
11.外務省からの一言:
(1) フィリピンにおける感染症対策の重要性に鑑み、現在感染症全体を対象としたプロジェクトの実施を検討しているが、結核に対する協力も右プロジェクトと十分な連携を図りつつ継続していく方針である。
(2) 昨年の九州・沖縄サミットの際に我が国が発表した沖縄感染症対策イニシアティブにおいて、我が国は5年間で30億ドルの貢献を行なうこととしており、特にHIV/AIDS、結核、マラリア・寄生虫については今後とも積極的な支援を行なっている。


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