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ネパール・小学校建設計画

1.評価対象プロジェクト名:
「小学校建設計画」及び「第2次小学校建設計画」
(クリックすると画像が変わります)
2.国名:ネパール
3.援助形態: (1) 無償資金協力、94年度、95年度、5.87億円
(2) 無償資金協力、96年度、97年度、11.58億円
4.評価者:森 茂子 日本大学教授
5.現地調査実施期間:2000年3月18日~3月26日
6.プロジェクトの分野:教育
7.プロジェクトの目的:
 本件プロジェクトを通じた小学校建設により、ネパール政府が策定した「基礎・初等教育計画」の目的である(1)基礎・初等教育の質的改善、(2)教育機会へのアクセスの拡大、(3)組織の管理能力の強化に貢献する。
8.評価結果:
 日本の援助として実施した本件プロジェクト(第一次(2年)、第二次(2年))により、合計2,958の教室の新規建設や、教員研修を目的とした41箇所のリソース・センターの建設が地方自治体の参加と共に実現した。その他、既存の教室のリハビリ、備品の供与も実施された。これらを通じて、生徒の受入人数の増加や、教育環境の向上をもたらした。
 したがって本件プロジェクトは、初等教育機会へのアクセスの向上と、初等教育の質的改善に貢献したと評価できる。  
9.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点等):
 (1) 今後、本件のような初等教育案件が検討・実施される場合に、以下に十分配慮されれば更なる効果が期待される。
(イ) 対象地域住民による建設資材の運搬に対する支援、机や椅子等の備品の整備を援助対象として検討する。
(ロ) プロジェクトを実施したことによる裨益効果について、対象地域別、男女別に分けた就学率等の変化等、何らかの数値的な裨益効果の把握方法の導入を検討していく。
(ハ) 他の援助国・機関とのより緊密な連携や情報共有を更に推進していく。
 (2) 上記の小学校建設支援に加え、別途、教師養成、教科書開発、運営改善などに関するソフト面の支援を行なう。
 
10.外務省からの一言:
 無償資金協力では、プロジェクト実施において先方が負担できる部分は先方が負担することを方針としており、この点から運搬については検討している。また、本件のようにサイトが数千に及ぶ場合、備品等については現況報告、供与後のモニタリングが困難であることから慎重に対処している。
 なお、1999年度から新たに開始した本件の第3次目となる一般プロジェクトでは、他の援助国の活動との連携をとりながら実施している。
 同国においては世銀による住民参加型学校建設が推進されていたが、過度な住民負担、資機材の散逸・盗難・粗悪な施設の建設等により失敗したとされている。これらの事実も念頭に入れ、我が国としては従来からの技術移転、日本の「顔の見える援助」に加えて我が国を含むNGO活用についても検討している。  
なお、この評価報告は評価者が第3者である個人の責任において作成したもので 、外務省の意見ではありません。

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