4. 背景と目的:
(1)合同評価調査の背景と目的:
今回のユニセフとの合同評価は、2003年2月に実施された「第15回日本・ユニセフ定期協議」を受けたものである。そこでは、両者のコミュニケーションの緊密化およびフィードバック確保の観点から合同評価の実施について合意がなされた。ユニセフは162の国や地域において活動を行っており、各支援国において通常5年からなる支援プログラム(以下、カントリープログラム)の計画・立案、実施、モニタリング・評価を実施している。
評価については、年間評価、中間評価、カントリープログラム評価があり、カントリープログラム評価は、支援対象国の政策やニ-ズの明らかな変化が見られる場合に、それらに対応するための戦略的な提言を得ることを目的に実施される。ユニセフが今回、モロッコでカントリープログラム評価を実施することになった背景には、家族法や労働法など、児童と女性の権利の実現に影響を及ぼす多くの国内法の改正がある。こうした法の改正は今後のモロッコ政府の政策や戦略の策定にも影響を及ぼすと予測され、そうした変化に応じて同国における児童と女性の権利の実現に向けたこれまでのユニセフの援助内容や戦略の見直しが必要とされている。
日本がユニセフの対モロッコカントリープログラム評価に参加した主な目的は、(1)ユニセフのプログラムアプローチおよび評価手法を学ぶ、(2)基礎教育および母子保健分野におけるモロッコ国のニーズを把握し、今後の事業形成や援助方針にフィードバックする、(3)ユニセフとモロッコ国において連携するための可能性を探り、効果的な連携のための提言を得ることであった。
(2)ユニセフの対モロッコカントリープログラム評価実施の目的:
- 以下の3つの観点から、対モロッコカントリープログラムその役割および妥当性を評価する:(1) 児童と女性の現状、(2) モロッコ国の政策と戦略、(3) 「児童の権利条約 (CRC)」 や 「女性差別撤廃条約(CEDAW)」等の国際法規
- 対カントリープログラムのデザインおよび、そのフォーカスについて評価する。具体的には:(1) プログラム・プロジェクトの目的や戦略の策定、(2)「人権を基盤にしたプログラムアプローチ」は、各プログラム・プロジェクトの目的や戦略の設定の他、カントリープログラムのデザインにどのように反映されているか。
- 児童と女性の権利実現のために、ユニセフのカントリープログラムの戦略および活動が、国内的・国際的なパートナーとの関係においてどのような点で有利であるかを評価する。
- プログラム実施のための支出と結果の観点から効率性に関する評価を行う。
- 前期カントリープログラムの中間評価(1999年)以降の予算状況およびプログラム運営資金(通常予算およびその他の予算)の収入状況について評価する。
- パイロット・プロジェクトにおいて開発されたツールやモデルが各行政レベルにおいてどのような自立発展性をもたらしたか。また、それらが全国的に導入される可能性を分析する。
- ユニセフモロッコ事務所スタッフとモロッコ政府カウンターパートの評価能力を強化するとともに、その経験をユニセフ全体におけるカントリープログラム評価に関する方法とガイダンスの確立のために役立てる。
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