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モロッコ・アガディール高等漁業専門技術学院

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 アガディール高等漁業専門学院
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2. 国   名:モロッコ
実施機関名:漁業省
3.援助形態:
(1) モロッコ漁業訓練計画(プロジェクト方式技術協力、87~93年)
長期専門家派遣 11名、短期専門家派遣 12名、研修員受入 19名
(2) 漁業訓練船建造計画(水産無償)(93年度)14.66億円
(3) 水産専門技術訓練計画(プロジェクト方式技術協力、94~2001年)
長期専門家派遣 7名、短期専門家派遣 15名、研修員受入 14名
4.評価実施機関名:在モロッコ日本大使館
5.現地調査実施期間:2001年1月24日
6.プロジェクト・プログラムの分野:水産
7.政策目的叉は政策の方向性:
 教育及び人材育成を通じた漁業振興、水産分野での日・モロッコ関係の強化
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
(1) 沖合漁業船舶上級乗組員のモロッコ人有資格者(航海士、機関士上級資格)の育成(87~93年度技術協力及び93年度水産無償)。
(2) 沿岸漁業従事者の技術向上のための人材育成、及び水産加工分野における教育の開拓(94~2001年度技術協力)。
9.評価結果:
 アガディール高等漁業専門技術学院は大型漁業のモロッコにおける最大の基地であるアガディール湾に隣接し、日本から供与された機材及び漁業訓練船を始めとする高レベルな設備を有し、水産分野における教育及び人材育成を行っている。
 漁業訓練船は95年の引き渡し以降、実習訓練のために有効に活用され、資格を有する沖合大型漁船乗組員として就職する卒業生を輩出してきている。これまで外国人の占める割合が大きかった航海士及び機関士上級資格を保有する上級乗組員のモロッコ人の数が徐々に増えつつあるのは、我が国の協力による「モロッコ漁業訓練計画」及び「漁業訓練船建造計画」の成果である。機材の不足等により従来の机上の学問に限られていた漁業・水産教育から、我が国の援助により実践重視の教育へと移行できたことは、モロッコの漁業分野の人材育成に多大な成果をもたらしている。
 現在、「水産専門技術訓練計画」のフォローアップとして特に水産加工分野に重点を置き、長期専門家が中心となって教官の育成や実習マニュアルの作成作業を行っている。既にモロッコ人教官による自主的な試作作業が可能となっており、2001年6月の同計画終了までには教官の完全な技術取得とマニュアルの完成が期待される。
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
(1) 現在、漁業訓練船はエンジン故障のため一時的に操業不可能な状態にある。間もなく当計画のフォローアップ予算による修理が実施されるが、今後も年月の経過と共に維持管理上の問題の発生が予想され、モロッコ漁業省による然るべき予算手当が必要となる。
(2) 恵まれた漁場を有するモロッコにとって水産は最も重要な国家資源の一つであり、食料品輸出額の約2分の1を水産物が占める。政府は外貨獲得源として漁業に高い優先度を置き、漁港設備や専門家育成、投資奨励などを積極的に進めている。水産教育分野における日本の援助はこうした政策に大きく寄与するものであると同時に、多くの海産物をモロッコから輸入している日本の協力として相応しい。本計画の長期的成果として、モロッコの水産加工品生産多様化及び輸出増大を期待する。
11.外務省からの一言:
(1) エンジン故障による漁業訓練船の一時的な運行不能に対しては、フォローアップ予算による修理を行うことで対応していきたい。また、今後は、モロッコ側が独自に対応できるよう申し入れていきたい。なお、漁業訓練船エンジン故障のフォローアップの一環として、技術指導の強化と事故再発防止を目的に、漁船機関メンテナンス分野のシニア海外ボランティア1名を2001年4月より派遣している。
(2) 教官の育成、実習マニュアルの作成作業に関しては、教官は、2001年6月のフォローアップ終了時点までに、主体的に企画立案、製品化、出荷までこなせるレベルに達している。また、実習マニュアルは、2001年3月に完成、初級者でも実習に取り組めるようビジュアルで具体的なマニュアルとなっている。


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