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モロッコ・地方飲料水供給計画

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 地方飲料水供給計画
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2.国   名:モロッコ
  実施機関名:水利総局
3.援助形態: 一般プロジェクト無償/平成6年度2.91億円、8年度4.3億円
草の根無償/多年度
4.評価実施機関名:在モロッコ大使館
5.現地調査実施期間:2001年 1月23日
6.プロジェクト・プログラムの分野:社会基盤
7.政策目的又は政策の方向性:安全な生活用水の安定供給
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
 砂漠気候であるアトラス山脈南部地域の村落住民に質・量ともに安定した飲料水の供給を行うことにより、村落住民の生活改善を図る。我が国は、多年度に亘り、「地方飲料水供給計画」を実施し、平成6年度は86村落、8年度は196村落を対象に給水関連機材を供与し、平成12年度に草の根無償資金協力として15村落に給水車を供与した。
9.評価結果:
 対象地域となったアガディール県(モロッコ南西部)における5件について評価を実施した。
 タムリ村(2件)及びダール・ブブケール村に日本から発電機及び水中モーターポンプが、タムザルグート村にはソーラーポンプが供与され、井戸の掘削、給水タンクの建設等をモロッコ側が行った。村民による管理委員会が井戸の管理をすると同時に各戸給水の努力を続けており、現在それぞれの村で80%以上の家屋に水道が通じている。料金徴収の実施も確実である。他方、イムスワン村には草の根無償により給水車が供与され、村役場による管理の下飲料水を住民に供給している。
 手掘り井戸や雨水貯水槽に頼る生活は、水の量・質ともに不安定であり、村民、特に女性と子供は遠方まで水を汲みに行く重労働を強いられていた。自宅あるいはその近くに設置された水道で安全な水が安定して手に入るようになったことは、村落住民の健康及び生活環境の向上に大きく寄与したのみならず、女性の解放や児童の就学率向上にもつながった。モロッコが抱える最大の問題の一つが地域格差であるが、生活の基盤である飲料水の農村部への安定供給は格差是正に大きく貢献し、人口の都市流入を防ぐ手段でもある。
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
(1) 年数が経つにつれ、機材のメンテナンスが重要課題となる。また、各戸給水を進めるために貯水槽をより高い位置に移動するなどの工事がモロッコ側によって進められており、日本が設置した機材に影響を及ぼさないとも限らない。機材の保守・管理については、管理委員会を始め村民の意識は極めて高いが、知識不足による技術上の問題の発生を避けるため、指導が必要となろう。
(2) 本プロジェクトは2010年までに地方部の給水施設普及率を80%に引き上げることを目標としたモロッコ政府の「地方飲料水供給計画」を援助するという直接の成果を得るのみならず、地方格差の是正、女性の地位向上、就学率向上といった国王が掲げる政策目標の達成に資するものであり、今後も積極的な援助を続けるにふさわしい分野である。
11.外務省からの一言:
(1) このプロジェクトの成果を踏まえ、地方給水分野における更なる協力の可能性を検討する予定であるが、その際には上記の提言事項に十分留意することとする。
(2) 10.(1)の提言を受け、2001年6月~8月の間、短期専門家3名と長期専門家1名による現地巡回指導及び現状調査を実施した。


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