6.評価結果
(1)目的の妥当性
モンゴル政府の中期的な主要開発戦略として「政府行動計画」と「人間の安全保障のためのグッドガバナンス」、さらに政府行動計画を実施するための「経済成長と貧困削減政策」(EGSPRS)があり、基本的な目標としての基本方針と部門毎の政策から成り立っている。基本方針では「教育と文化の保護・尊重」が掲げられており、部門毎の政策では「社会政策」の中で、「基礎教育と職業訓練の提供」が掲げられている。また、モンゴル政府は、中期教育開発計画「モンゴル国教育セクター戦略2000~2005年(1999年策定)」において、教育施設不足の解消を主要項目の一つに掲げていることから目標に合致している。
我が国の政策では、ODA及びODA中期政策で人材育成や基礎教育の重要性が掲げられている他、対モンゴル国別援助計画の4つの重点分野の一つに「市場経済を担う制度整備・人材育成に対する支援」が掲げられており目標に合致している。
(2)策定・実施の適切性
モンゴル政府(大蔵省、教育・文化・科学省)、関係官庁(ウランバートル市教育局、地方教育局)と日本政府との間で要請と調整に係るプロセスを経て、ニーズの高い場所に新しい校舎が建設、増築・改修工事が行われた。また、他ドナーとの調整が行われた結果、重複はなく事業が実施された。
(3)インパクト
「初等教育施設整備計画」及び「草の根・人間の安全保障無償資金協力」とも、支援対象となった学校幹部、教員、職員、生徒の父兄等の調査対象者にインタビューを行った結果、約80%は、支援計画は成功裡に実施されており、「良い」(問題なし)と評価した。
(イ)学校に通える生徒数が増加した。
(ロ)教室数が増加し、3交代制の授業が減少した。
(ハ)3交代制の減少による教員の負担軽減から、教育の質が向上した。
(ニ)1教室当たりの生徒数が減少し、劣悪な学習環境が改善された。
(ホ)生徒、教員の学習・勤務意欲が上昇した。
(ヘ)近くに学校ができたこと、3交代制が減少したことにより、通学時における子供の安全性が改善された。
以上のとおり、生徒や教員等のソフト面に与えたインパクトが大きく、ほとんど全ての学校の調査対象者から、状況は改善されており、計画に対する評価は総合的に高いとの回答を得た。
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