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マレーシア・東方政策支援に係る経済協力

1.評価対象プログラム名:東方政策支援に係る経済協力
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2.国名: マレーシア国
3:援助形態: 有償、無償、研修生受入、青年海外協力隊、シニアボランティア
4.評価実施機関名: 在マレーシア日本国大使館
5.現地調査実施期間:2001年3月―6月
6.プログラムの分野:人的資源
7.政策目的又は政策の方向性:
 本東方政策は、1982年現マハディール首相の提唱により、日本の近代化の原動力となった学問的知識及び技術だけでなく日本の労働倫理等を日本との直接的な接触(留学生、研修生)を通じて学び取ることにより、マレーシア国の経済社会の発展と産業基盤を確立することを目標として開始され、現在まで約20年間にわたり実施されてきている。
8.当該プログラムの目的:
 本東方政策プログラムは、(1)学生を対象とした長期的視点に立った教育としての我が国の大学及び高等専門学校への留学生の派遣、(2)職業人を対象とした産業技術分野における需要を満たすための研修としての産業技術研修及び経営幹部実務研修などの2つのプログラムに大別される。また、留学生派遣プログラムの一つとして、マレーシア人日本語教師養成を目的としたプログラムが1990年から9年間実施されている。
9.評価結果:
 マレーシアの近代化を日本に学ぶ目的で始められた東方政策は、1981年の現マハディール首相就任以来、「人材育成」の中心政策として実施されてきている。またこの「人材育成」は、日本からの対「マ」経済協力の重点課題として約20年以上にわたり取り組まれ、マレーシア国内でも高く評価されている。この東方政策プログラムを終了した留学生あるいは研修生は約6,100名にのぼり、留学生の大半は日系企業などに就職し、マレーシアの工業化に貢献している。更に、東方政策が広くマレーシア国民に知られていることや、研修を通じて約6,200名のマレーシア人が日本で生活し、日本の地域の人達と交流したこと等が、マレーシア人の日本に対する更なる理解につながっていると思われる。
 また、高等教育機関の充実が待たれるマレーシアにおいて、海外への留学はマレーシアの人材育成に大きな役割を果たすとされており、留学生受入が旧宗主国イギリス、イスラム国エジプトについて第3位である我が国の実績は、高く評価できる。
 さまざまな留学生派遣プログラムや研修生派遣プログラムは、一部既に修了しているものも含め概ね当初の目標は達成されたものと評価されているが、近年では経済の進展や経済のグローバル化に伴い勤めていた日本企業或は研修派遣先から転職、転出する卒業生も多く見られるようになり、日本社会として留学生との絆を強める施策・支援が求められている。
10.提言:
 マレーシアの近代化もかなりのレベルにまで成長してきていること、マレーシア国内における高等教育機関の充実も図られてきていること、さらに、円借款による留学生支援事業(HELP)の実施及び同フェーズ2(HELP2)におけるツイニング・プログラムの開始、JMTI(日本マレーシア技術学院)の開校など、東方政策が始められた時期に比べると、その周辺環境はかなり変化している。留学プログラムや研修プログラムは、引き続き日本からの経済協力プログラムの重点課題であり、両国の厳しい経済状況のもとで、入学選抜基準の設定などを通じ、より費用対効果の高いプログラムを整備することが必要である。
11.外務省(本省)からの一言:
 東方政策は、我が国とマレーシアとの友好の象徴であり、2002年1月小泉総理のマレーシア訪問の際にも事業の継続が確認されました。提言の指摘事項も踏まえつつ、今後とも効率的かつ効果的なプログラムの整備に努めていきたいと考えています。
マレーシア政府派遣留学生
派遣先国名 人数(人)
イギリス 2,203
エジプト 1,131
日本 818
アメリカ 689
ヨルダン 668
インドネシア 457
オーストラリア 385
ニュージーランド 184
2001年1月時点


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