(2000年3月、在スリランカ大使館)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
無償資金協力 |
協力年度 |
87年度 |
協力金額 |
6.72億円 |
相手国実施機関 |
教育省 |
協力の内容 |
教育施設及び、管理棟の建設及び体育用機材、一般教育機材、音楽教育機材、救急及び医務室機材の調達 |
<評価要旨>
1.効率性
プロジェクトは問題なく効率的に実施された。モルディブにおいて、これまで数多くの無償案件が実施されているが、概ね日本の無償資金協力にて実施される案件は、決められた期間に完成され、高水準であると、高く評価されている。
2.目標達成度
本プロジェクトの下で建設された4つの小学校は、開校以来、2部制にて、毎年平均1500名の児童に、初等教育を与えている。また、一般授業以外でも、スポーツ及び文科系(美術、英語、環境等)のクラブ活動が活発に実施されている。また、外部団体に対しても同小学校の施設・機材を開放しており、施設は非常に有効に活用されている。
3.インパクト
モルディブ(マレ島)において、小学校が増加し、制度が整備されたことに伴い、教員に対する訓練・研修等も強化され、教員の質が向上した。また、学校で、社会的諸行事に対し、講堂などを貸し出すことによって得た収入を、児童の学業目的に充てることによって、より充実した学習プログラムを組むことが可能となっている。
4.計画の妥当性(プロジェクト選定・形成の適性度)
本プロジェクトは、モルディブ政府の策定した "Educational and Human Resources Development Plans 1985 - 1995 "を基に、建設されたものである。技術的観点から見ても、同小学校の建築プランは、他の学校を建築する際の見本ともなっており、理にかなった設計であり、本計画は妥当であったと言えるであろう。
5.自立発展性
同小学校は毎年、教育省より、学校の運営・維持管理に必要な予算が与えられており、健全な財政運営状況にある。また、職員(教員及び非教員)も、常時平均112名が勤務しており、適切な学校運営が行われている。建物の管理には、専属の職員を配置している。供与した機材に関しても、消耗品を除けば、殆ど状態良く保管・利用されており、足りない部分は独自で購入している。
6.環境及びWID(開発における女性)への配慮・影響
教員・児童ともに、環境全般に対する意識・配慮は強く、同小学校では特別な環境のクラス(クラブ)が設けられている。その功績が認められ、同国大統領から同環境クラブに対して、特別環境賞が贈られた。
7.今後必要なフォローアップ
現時点において、特になし。体育館の床の修繕が必要となっているが、既に同校において、かかる補修のための予算は確保済みとのこと。
8.将来ほかのプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
生徒数増加、また国の教育システムの変更を受け、現在同小学校において、校舎の拡張を検討中であるが、予算的、物理的問題もあり、早期実現は困難であると思われる。このようなことから、今後同様のプロジェクトを行う際には、直ぐにフル・キャパシティになってしまわないよう、注意して設計を行うべきであると思われた。また、日本の機材は説明書が一部日本語で書かれているため使用困難との指摘があったところ、今後日本製の機材を供与する場合は、英語のマニュアル、説明書を作成し添付するなどの配慮が必要であると思われた。