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モルディブ・地方島小学校改善計画

1.評価対象プロジェクト名:地方島小学校改善計画

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2.国名:モルディブ 
 実施機関名:南フヴァドゥー小学校
3.援助形態:草の根無償資金協力(平成10年度、60,176米ドル)
4.評価実施機関名:在スリランカ大使館(モルディブ兼轄)
5.現地調査実施機関:2001年3月27日
6.プロジェクト・プログラムの分野:人的資源開発
7.政策目的又は政策の方向性:
 基礎教育の拡充、初中等教育就学率の向上
8.当該プロジェクト・プログラムの目的(可能な限り数量的な記述を含める):
 ティナドゥー島にある南フヴァドゥー小学校では、公立の初中等学校を学力的・経済的に退学を余儀なくされた児童に対し就学の機会を与え、また公立の初中等学校で遅れを取っている生徒に対する補講を行なう。同プロジェクト実施で、同校の校舎を拡大することにより、より多くの児童に就学の機会の場を与える。
9.評価結果:
(1) 事業実施前(1998年)の同校の総生徒数は、正規クラス70人、補講クラス460人であったが、評価時(2001年3月)には正規クラス153人、補講クラス80人であった。正規クラスは、プロジェクト実施前と比べて倍増しており、目標は十分に達成できたといえる。一方、補講クラスは、評価時において、まだ新学期が始まったばかりであったことから、数字の上では減少しているが、今後は増加していくことが見込まれている。2000年においては、正規クラス137人、補講クラス401人の受講があった。
(2) 校舎を拡大したことにより、一度に多くの生徒の受入れが可能となり、1日当たり1人の生徒が受けられる授業時間が本プロジェクト実施前と比べて2倍(3時間から6時間)となった。教員も7名から11名に増員され、各教員の士気も高い。また、校舎が拡大したことにより、生徒たちの課外活動も活発に行われるようになっている。
(3) このような私立の学校は、一概に経営能力が弱いと言える。今後、同校の持続発展性及び組織強化のために同校の経営強化が望まれる。
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
(1) 同小学校は、公立の学校を学力的・財政的な理由で退学を余儀なくされた児童たちに就学の機会を与える意味において、有意義な活動を行っている。モルディブ政府としても、私立学校の果たしている役割を認識・評価しているが、私立校に補助金を支給する財政的余裕は全くない。このような、政府の財政的支援が困難である地方の学校、特に私立の地方の学校一般に対する協力の意義及びニーズは大きいことから、今後も優良案件があれば積極的に実施されるべきである。
(2) 今後とも同校の果たしていく役割は重要であると思われるものの、プロジェクトをより効果的にするには、同校の経営力強化が必要である。経営力強化を図るため、同校がマネジメント全般に関する専門家を外部から雇用する、また、同島にある公立学校との連携を深め、経営のノウハウを伝授してもらうなどの策が講じられることが望まれる。
(3) 今後の我が国の教育分野における協力に関し、教育の質の改善(カリキュラム強化、教員育成、施設の充実等)にも取り組んでいくべきである。
11.外務省からの一言:
(1) モルディブは、小島嶼国であり、首都圏と地方島の経済格差、ひいては、教育水準の格差が依然として大きい。本件援助は、モルディブ政府の支援が行き届きにくい地方部の教育水準向上に大きく貢献するものである。
(2) 昨年4月にセネガルで開催された「世界教育フォーラム」の際に採択された「ダカール行動枠組み」の目標達成(初等無償教育の全面普及、男女格差是正等)に向け、我が国としても基礎教育分野に積極的に支援していく考え。


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