1.評価対象プロジェクト名:
ケニア半乾燥地社会林業普及モデル開発計画
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2.国名:ケニア |
3. 援助形態:
プロジェクト方式技術協力/97~2002年度/専門家派遣19名 |
4.評価者:高橋基樹 神戸大学大学院助教授
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5.現地調査実施期間:2000年9月16~20日
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6. プロジェクトの分野:社会林業 |
7.プロジェクトの目的:
人口の急増と農業適地の不足により、森林の減少がとりわけ半乾燥地で進んでいる状況を受けて、以前のプロジェクトで開発された造林保育技術を更に実用的に改良し、それに基づいて、地域住民が適切な樹木の植栽・管理・利用ができるよう、農林地造成のための普及モデルを開発する。
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8.評価結果:
(1) |
長い協力により開発された樹木の植栽及び管理に関する技術は現実に農民によって取り入れられ、便益をもたらしている。技術開発→訓練→農民の日常生産活動への普及という一連の協力活動の発展は本来あるべき流れである。 |
(2) |
このプロジェクトでは、一部の農民の協力を得て、植栽技術モデルの実証調査を行っているが、農民の造林技術に対する評価は良好だった。 |
(3) |
ケニア側の現地実施機関と日本側の密接な協力により、各種パンフレットの作成やメディアの利用、イベント活動、モバイルショー、訓練セミナーなどにより造林技術の普及が進められている。 |
(4) |
今後の課題は、現在のプロジェクト対象地域を超えて、広い範囲での普及が、どれだけ進んでゆくかにある。このプロジェクトの2つの現地側実施機関のうち、林業研究所は比較的技術水準、組織能力が高いようであるが、一般農民への普及を担当する林業局は、財政的に逼迫した状況にあり、現状では十分な機能を果たせていないのではないか。 |
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9.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点等):
(1) |
一連のプロジェクトには息の長い協力ならではの着実な成果が見られる。ケニアのみならず近隣諸国の貧困削減・環境保全の重要性や普及事業の困難さを考えれば、今後も社会林業分野での協力は重要である。 |
(2) |
但し、「開発行為」としてプロジェクトを見た場合、先方実施機関の財政、組織能力が脆弱であっては所期の目的を達成できない。その点、林業局の財政状況は大きな障害である。今後、実施予定の先方援助実施機関の組織・財政改革の動向を注視するとともに、限られた予算の下で、林業局等が普及などの大きな職責を果たしていくための効率的な組織づくりやノウハウの習得に向けた技術的支援の可能性につき検討する必要がある。 |
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10.外務省からの一言:
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ケニアは、国土の8割が乾燥・半乾燥地域であり、干ばつ被害も頻発していることから、本件協力により開発された技術を基に、林業研究所を拠点として各地の自然条件・社会条件に適した改良を行いつつケニア国内への普及を図ることは重要な課題であり、今後とも社会林業分野での支援を継続すべき。 |
(2) |
また、このプロジェクトは、サブ・サハラ地域における半乾燥地社会林業のモデルケースとなりうるものであり、周辺国への技術普及に対する協力も併せて検討したい。
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