1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
アカバ火力発電所増設計画(I、II)
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(クリックすると画像が変わります)
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2. |
国 名: |
ヨルダン・ハシミテ王国 |
実施機関名: |
電力庁(現中央電力発電会社) |
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3.援助形態:有償資金協力
第一期:94年度、47億45百万円
第二期:95年度、108億13百万円
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4.評価実施機関名:在ヨルダン大使館 |
5.現地調査実施期間:2001年3月27日~2001年3月30日 |
6.プロジェクト・プログラムの分野:エネルギー
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7.政策目的又は政策の方向性:基礎生活の向上・産業政策 |
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
ヨルダン国の電力供給能力の向上支援。アカバ火力発電所に火力発電設備(2×130MW)を増設等すること。(94年の電力施設能力は926MW、ピーク時負荷は794MW(設備能力比86%)であった。当時、年平均約6%の需要の伸びが予想されていた。) |
9.評価結果:
(1) |
当初の予定通り、アカバ火力発電所に対し、火力発電設備(2×130MW)を増設した。これにより、同発電所については、ヨルダンにおける電力供給の約6割を占めることとなり、ヨルダンにとって重要な電力供給の場となった。
事業の効果に関し、95年ピーク時負荷は862MW(前年度比8.6%増)、1999年には1,137MW(年平均約8%増)となり、上記予想を上回る電力需要があり、十分な効果があった。 |
(2) |
また、過去に、同発電所に対して日本から青年海外協力隊員2名の派遣及び個別機材の供与等を行っている。また、現在、日本からシニア海外ボランティア2名がメンテナンス等の指導を行っており、適切に運用を行っている。 |
(3) |
他方、送電・配電については、現在エジプト・シリア・ヨルダンで電力網連結されており、電力の輸出入を行っているが、同発電所は他国間においても重要な役割を担っている。今後、その他の国イラク・レバノン及びトルコが加わる予定であり、同発電所の役割は一層重要性を増すこととなる。
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(4) |
また、(A)日本からの援助による電力訓練センターのアフターケアの実施等新しい技術の促進を図っていること、(B)日本の開発調査(「配電網電力損失低減計画」)を行い効率的な送配電計画の助言を行っていること、また、(C)アラブ地域全体の送配電網の改善を行うため、日本の資金協力により、周辺国の研修生を対象とした第三国集団研修を当地で行っている等、発電・送電・配電の総合的な電力供給に寄与している。 |
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10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
本件発電設備は既に増設し、予想を上回る電力需要への供給を確保し、電力の安定供給に寄与している。しかしながら、NEPCO年報(1999年版)によると、2005年にはピーク時負荷が1,614MW、2015年には2,246MWとなるとの予想もあり、電力供給については喫緊の課題となっている。
また、当国の電力需要全体の16.5%は水の配水等のため電力が利用されており(家庭用等約32.6%、工業用31.8%、商業用13.4%、2000年の値)、電力需要を満たすことについては基礎生活の向上のためにも重要なファクターとなっている。
このため、これら電力発電・送配電等の整備に対し、我が国としても民営化の動向等に留意し、各プロジェクトの必要性を吟味しつつも適切に援助することの可能性について検討する必要がある。
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11.外務省からの一言:
本件は有償資金協力のみならず、技術協力を行うことで「顔の見える援助」となっており、かつ、予想を上回る需要があるとのことでヨルダンに対する経済協力の成功例の一つと言えよう。
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