6.評価結果
全般的な評価結果:
これまでの外務省とNGO等,日本のステークホルダーとの間での活発な議論が行われてきており,その成果がいかされ,NGOのニーズに沿ったスキームへと改訂されてきている。他方,N連の目標の一つである,「NGOのキャパシティ・ビルディング」が何を指しているのか,どういったNGOを育成するのかについて,十分な議論が行われてこなかったことが判明した。今後外務省内での十分な議論が必要である。
(1)「政策の妥当性」に関する評価:A
日本の援助政策や国際的な優先課題との整合性が図られており,対象コミュニティのニーズに沿った事業計画が策定されている。幅広いNGOのニーズに対応したスキームであるといった点においても政策的な妥当性は高い。他方,本スキーム活用でODAをいかに拡充するか,NGOに期待する役割などについて議論が継続されることで,より政策的な比較優位性が担保されると考えられるものの,総合的に判断すれば政策の妥当性は高い。
(2)「結果の有効性」に関する評価:B
本スキームにより日本のNGOが強みを発揮し事業が効果をあげており,NGOが本スキームのノウハウを身に付けるなど能力向上につながっている部分もあるが,成果重視型の案件形成能力は不十分。同時に,N連が目指すキャパシティ・ビルディングが何を指すかが不明確であり,また事業前との比較によるキャパシティ・ビルディングの成果を測定することは難しい。
N連スキームを通じたODAの広報は行われていても,本スキームの認知度は特に向上しているとは言えず,以上のことを総合的に判断した結果,結果の有効性は中程度とする。
(3)「プロセスの適切性」に関する評価:A これまで本スキームに,NGO等,我が国ステークホルダーの意見が反映されてきており,平成22年度はNGOのニーズに沿ったスキームの大幅改訂が行われている。また,過去数年に渡り手続き面での迅速性・柔軟性を高めてきている。以上のことから,プロセスの適切性は高いと言える。ただし,会計処理について現行の実施要領の規則が不十分なこと,外部監査のあり方など今後検討が必要である。 |