広報・資料 報告書・資料

日本NGO連携無償資金協力の評価

1. テーマ:日本NGO連携無償資金協力の評価
(スキーム別評価)
写真

(クリックすると画像が変わります)

2.現地調査国:カンボジア
3.評価チーム:
(1)評価主任:山田満
  (早稲田大学社会科学総合学術院教授)
(2)評価アドバイザー:桑名恵
  (お茶の水女子大学グローバル協力センター講師)
(3)コンサルタント:株式会社アンジェロセック
4.調査実施期間:2010年9月~2011年3月

5.評価方針  

(1)目的
(イ)
「ODA評価ガイドライン(第5版)」に基づき,日本NGO連携無償資金協力(以下,N連)を評価し,グッドプラクティスや問題点を明確にすることにより得られた教訓・提言を,今後の本スキームの改善に役立てること。
(ロ)
評価の結果を公表することで,国民への説明責任を果たすこと。
(ハ)
NGOが本スキームへの理解を深め,活用の促進に寄与すること。

(2)対象・時期
  本件評価調査は,2010年4月に大幅改訂された,外務省の日本NGO連携無償資金協力を対象とした。国内関係機関ならびに本スキーム活用の実績のある日本NGO120団体及び同実績のない日本NGO73団体へのヒアリングまたはアンケート調査は2010年10から12月に実施し,またカンボジアに展開中の本スキーム事業4件につき同年11月に現地調査を実施した。

(3)方法
(イ)
文献レビュー調査
(ロ)
案件別申請書,中間報告書,完了報告書調査のレビュー調査
(ハ)
国内関係者に対する質問票を用いたインタビュー調査
(ニ)
N連実績のある団体,N連実績のない団体に対するアンケート調査
(ホ)
現地調査

6.評価結果

全般的な評価結果:
 これまでの外務省とNGO等,日本のステークホルダーとの間での活発な議論が行われてきており,その成果がいかされ,NGOのニーズに沿ったスキームへと改訂されてきている。他方,N連の目標の一つである,「NGOのキャパシティ・ビルディング」が何を指しているのか,どういったNGOを育成するのかについて,十分な議論が行われてこなかったことが判明した。今後外務省内での十分な議論が必要である。

(1)「政策の妥当性」に関する評価:A
  日本の援助政策や国際的な優先課題との整合性が図られており,対象コミュニティのニーズに沿った事業計画が策定されている。幅広いNGOのニーズに対応したスキームであるといった点においても政策的な妥当性は高い。他方,本スキーム活用でODAをいかに拡充するか,NGOに期待する役割などについて議論が継続されることで,より政策的な比較優位性が担保されると考えられるものの,総合的に判断すれば政策の妥当性は高い。

2)「結果の有効性」に関する評価:B
  本スキームにより日本のNGOが強みを発揮し事業が効果をあげており,NGOが本スキームのノウハウを身に付けるなど能力向上につながっている部分もあるが,成果重視型の案件形成能力は不十分。同時に,N連が目指すキャパシティ・ビルディングが何を指すかが不明確であり,また事業前との比較によるキャパシティ・ビルディングの成果を測定することは難しい。
  N連スキームを通じたODAの広報は行われていても,本スキームの認知度は特に向上しているとは言えず,以上のことを総合的に判断した結果,結果の有効性は中程度とする。

3)「プロセスの適切性」に関する評価:A
 これまで本スキームに,NGO等,我が国ステークホルダーの意見が反映されてきており,平成22年度はNGOのニーズに沿ったスキームの大幅改訂が行われている。また,過去数年に渡り手続き面での迅速性・柔軟性を高めてきている。以上のことから,プロセスの適切性は高いと言える。ただし,会計処理について現行の実施要領の規則が不十分なこと,外部監査のあり方など今後検討が必要である。

7.提言

(1)
開発協力の3本柱:「貧困削減」「平和への投資」「持続可能な経済成長の後押し」(「ODAのあり方」)を促進する事業への支援強化
(2)
N連スキームの戦略の明確化
(3)
事業効果の拡大:点(プロジェクト)から面(地域的広がり,政策への連結)へ
(4)
成果の達成度を測る仕組みの導入
(5)
申請,審査,報告プロセスにおける情報提供,外部専門家の関わりの強化
(6)
ステークホルダーの参加過程のさらなる促進
注) ここに記載されている内容は評価実施者の見解であり、政府の立場や見解を反映するものではありません。


このページのトップへ戻る
目次へ戻る