1.評価対象プロジェクト名: 灌漑及び生活用水供給路建設計画 |
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2.国名:インドネシア 実施機関名:バリ草の根ソサイティ- |
3.援助形態: |
草の根無償 |
| 99年度/3,370,200円 |
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5.現地調査実施期間:2000年3月19日~3月20日 |
6.プロジェクトの分野:民生環境 |
7.政策目的又は政策の方向性:貧困撲滅及び社会的弱者救済、基礎生活分野に対する支援 |
8.当該プロジェクトの目的:
バリ州バンリ県ペゴダン村は、山間部に位置し上下水道が通っていないため、住民は生活用水を得るために谷底の川まで山道を往復している。また、農業用水にも窮しているため、村外の水源から水路を建設し村民に安全な水を供給することを目的とする。 |
9.評価結果:
本計画は、水源を持たない地方の村に対し、村外の水源からの水路を建設するもので、当初の計画通りに水源から村落までの水路が既に完成しており、安全な生活用水が供給され、全村民が受益していることが確認された。
今回の評価は、現地視察及び全世帯主との検討会により実施したところ、全ての村民に生活用水が行き渡っており、本計画が村民から高い評価を受けていることが確認された。本計画により衛生的な水が生活用水として使用されるようになって以来、村民の健康状態改善に直結する安全な水が全村民に確保できるようになった。
また、農業用水としての活用も確認され、建設以前は水不足のために不可能であった蜜柑苗木の栽培が進行していた。本計画以前には、兼業率が8.75%、季節労働者数が84名であったものが、それぞれ0%、0名になり、乾期には村外に出稼ぎに出ざるを得なかった村民も村内にとどまり農業に従事できる環境になったことから、村全体が活性化していることが伺え、本計画の選定は適正なものであったと思料される。 |
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
機材のスペアパーツ購入等など経費のかかる保守管理については、村内の経済状況から考えると、そこまで手が回らないというのが現状であるので、被援助者自らが、部品を調達できるほどに村内の経済状態が安定するまでの間は、本計画の被供与団体であるNGOを通じて、供与機材等の適正な使用方法などを定期的に指導するといったフォローアップ措置が必要であると思われる。
インドネシア政府は、経済開発の恩恵を享受できなかった社会的弱者救済のために、貧困削減を重点項目として国家開発プログラムを策定してはいるが、国民の最下層レベルでは、水・電気といった基礎生活分野におけるインフラが不足しているのが現状である。また、地方分権化が進んでいく中、国家レベルでの貧困削減を目的としたプログラムが、数百人レベルの集落に行き渡るまでには、相当な期間を要するものと思料される。
かかる現状の中、我が国としては、草の根無償資金協力の特性を生かし、インドネシアの実情に応じたより適正で緊急性の高い援助をピンポイントで行っていくため、今後はより一層インドネシア側の関係省庁、特に地方行政府及び関係機関との連携・協力を強化し、援助の効果的な推進に努めなければならず、今後とも貧困層など社会的弱者救済のための支援は、引き続き継続していく必要がある。 |
11.外務省(本省)からの一言:
「水」については、2003年に「世界水フォーラム」が開催されることを踏まえ、更に重点的に取り組んでいく課題の一つです。提言を踏まえ、相手国の中央・地方政府や関係機関との連携を強化し、必要性の高い案件を優先的に支援していくとともに、NGO等とも協調して、維持管理や水の使用方法の改善などソフト面の支援も検討していきます。また、貧困層対策についても引き続き継続していきます。 |