4.評価方針:
(1) 目的
本評価は、日本の対インド援助政策を包括的に評価し、今後の対インド援助政策、経済政策の立案及び援助の効果的・効率的な実施に資するための教訓や提言を得ることを目的として実施された。また、評価結果を公表することで国民への説明責任を果たすとともに、関係各国政府・機関関係者や他ドナーにフィードバックすることで、日本のODAの広報に役立てることを目的としている。
(2) 対象・時期
本評価では、日本の対インド援助政策を対象として、主に「政策の妥当性」、「結果の有効性」及び「プロセスの適切性」の観点から総合的に評価した。第1に、「政策の妥当性」については、2006年5月に策定された「対インド国別援助計画」を主な評価対象とした。本評価では、この国別援助計画に加えて、同年12月に発表された「『日印戦略的グローバル・パートナーシップ』に向けた共同声明」で確認された援助方針も考慮しつつ、それらの内容について整理し、政策協議で示された援助目的の妥当性について評価を行った。第2に、「結果の有効性」については、2006年のインド国別援助計画等で決定した重点課題を踏まえた援助が行われているかどうかについて評価を行った。日本は円借款を主体として、無償資金協力、技術協力等を行ってきたが、援助の結果を総合的に評価するためには各協力形態の有効性も含めて総括的に調査する必要があった。本評価では、無償資金協力、技術協力に加え、日本の円借款の結果の有効性(インドの経済発展と社会開発にどのような効果をもたらしたか)についても現地ヒアリング等を通じて調査を実施した。第3に、「プロセスの適切性」については、「政策の妥当性」と同様、原則として2006年以降に行われた援助活動を対象として評価を行うこととした。
(3)方法
本評価を行うにあたり、まず、評価の視点、評価項目、評価指標を示す評価の枠組みを作成した。ここでは、外務省が実施する政策レベル評価の基本方針にならい、政策、結果、プロセスの3つの視点から評価の枠組みを作成した。
「政策の妥当性」については、日本の対インド援助政策の援助目的・重点分野等の妥当性について、主として(a)相手国の開発ニーズとの整合性、(b)日本の上位政策との整合性、(c)国際的な優先課題との整合性、(d)他ドナーとの関連性などを評価することとした。
結果については、「有効性」及び「インパクト」に着目して評価した。日本の援助のインプット・アウトプットを確認した上で、当該援助が有効なアウトカムを生み出しているか、主として、(a)経済成長の促進、(b) 貧困・環境問題の改善、(c) 人材育成・交流の拡充、という3つの主要課題ごとに結果の有効性を分析し、最終的に同国の自立的な経済発展に与えたインパクトを評価した。
「プロセスの適切性」については、主として(a)政府(主として外務省)内のプロセス、(b)日本と被援助国との間のプロセス、(c)日本と他ドナーとの間のプロセスの3つに分けて、日本の対インド援助政策の立案・実施において適切な協力・協議・確認等があったかどうか、それらが効率的になされていたかどうかを確認した。 |