1.テーマ:
GII(人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ) |
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2. 国名:インドネシア、タイ、バングラデシュ、ザンビア
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評価者:
阿部貴美子
(財)国際開発センター主任研究員
本田文子
(財)国際開発センター研究員
(現地調査:第1次のみ)
池上清子
(財)家族計画国際協力財団
(現地調査:第1次タイ、バングラデシュ)
高橋径子
(財)オイスカ
(現地調査:第2次調査のみ)
Sallie C. Huber Management Sciences for Health
(現地調査:第1次バングラデシュ、第2次調査)
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2001年10月5日~2002年2月5日 |
5.評価の目的:
開発途上国において、人口・エイズ問題は、深刻な健康および経済・社会開発問題となっている。1994年、我が国は、人口・エイズ分野の重点的な政府開発援助(ODA)として「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII)」を発表し、2000年度までの7年間で総額30億ドルの協力を行うことを目指した。GIIは大きく以下の3種類の協力をカバーした。1)家族計画等のリプロダクティブ・ヘルス分野への協力(「人口直接協力」という)、2)人口分野に間接的に貢献する基礎的な保健医療、初等教育、女性の職業訓練・女子教育等への協力(「人口間接協力」という)、3)エイズ分野。
GIIの終了(2001年3月末)を受けて、本評価調査は、GIIのもとで行われた人口・エイズ分野の協力を総合的に評価し、今後の我が国による人口・エイズ分野と「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI。2000年7月発表)」における協力の改善に貢献する教訓と提言を導出することを目的としている。
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6.評価結果:
GII全体(7年間)の活動実績総額の内訳を見ると、「人口間接協力」が圧倒的に多かった(82%)。次いで「人口直接協力」(16%)、エイズ分野(2%)と続いている。「人口直接協力」では「安全な妊娠・出産」に重点が置かれており、エイズ分野では、感染予防に重点が置かれた。ただし、アフリカでは研究協力への比重も高かった。
「人口直接協力」と「人口間接協力」において、UNFPA及びUNICEF 等の国際機関、また国内外のNGOとの協力が促進された。他ドナーとの間では日米を始めとする、二国間の合同プロジェクト形成調査や合同評価が実施された。
インドネシアでは、「母子保健手帳」普及の支援案件を中心に、専門家派遣や国際機関との連携等を有機的に組合せ、国全体に貢献する協力が実施された。タイでは、エイズ分野の協力が中心であり、JICAのプロジェクトは、患者とその家族のケアへの支援に重点をおいた。このプロジェクトは、我が方のインプットと現地のニーズとの関連で妥当性が高いと評価された。バングラデシュでは、人材育成のニーズが高い中、高い波及効果が期待される人材育成面での協力が実施された。ザンビアでは、地元NGOによるトラック・ドライバー等へのHIV/AIDS予防啓発活動を日本が支援することを通じて、効率的な広域協力が実現した。
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NGO評価結果
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GIIの終了(2001年3月末)を受けて、本評価調査は、GIIのもとで行われた人口・エイズ分野の協力を総合的に評価し、今後の我が国による人口・エイズ分野と「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI。2000年7月発表)」における協力の改善に貢献する教訓と提言を導出することを目的としている。
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日米連携評価結果
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日米の合同プロジェクト形成調査が実施されたバングラデシュとザンビアでは、プロジェクトの実施段階での連携が、日米の援助の相互補完性を生かして実現していた(米国が支援するNGOが日本の供与した薬剤・資機材をソーシャル・マーケティングにおいて使用する、日本のJOCV と米国のPeace Corpがポリオ根絶活動で協力する等)。これらの実現には、日米間の援助スキームの違い等への配慮や実践的な連携アプローチの策定、現地のUSAID事務所の保健専門家やJICA事務所の援助調整担当者の存在が貢献していた。
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7.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点等)
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今後の保健分野の国際協力におけるより効果的な協力の実施のためには、より明確な戦略の策定と戦略に沿ったプログラム策定、プロジェクトの配置が重要である。
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(2) |
GIIのような特別なイニシアティブについては、金額と期間以外にも明確な数値目標を設定して、モニタリングと評価において数値目標の変化を活用することが望ましい。これは、イニシアティブの効果を対外的に示すことにも役立つ。 |
(3) |
HIV/AIDS分野で顕著なように、疾患への国際保健協力が疾病別対策ではなくなりつつあるなか、基礎的保健インフラの構築、他ドナーとNGOおよび市民社会との連携等の横断的課題を戦略とプログラムに含めていくことが重要である。
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(4) |
国別援助計画や実施計画等のODA政策策定時に、現場の知見を活かすため、また包括的アプローチを拡充するためにもNGOの参画ができる体制は必須だと考えられる。
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(5) |
連携現場において今後の日米連携に関わるイニシアティブへの理解の促進をはかり、現場の決定権の拡大と成果を重視した目標設定をすべきである。
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8.外務省からの一言:
保健分野の経済協力は、ドナー協調や、NGOとの連携が最も進んでいる分野であり、今後は「沖縄感染者対策イニシアティブ(IDI)」に基づき、具体的な協力方法の体系化に努めていきたい。また、GIIの成果については積極的に広報していく。
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