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ガーナ・家族計画・栄養改善・寄生虫予防総合プロジェクト(IPII)

1.評価対象プロジェクト名:
  家族計画・栄養改善・寄生虫予防総合プロジェクト(IPII)
(クリックすると画像が変わります)
2.国名:ガーナ共和国
3.援助形態:開発福祉支援(ローカルNGOへの資金協力)
4.評価実施機関名: 在ガーナ日本国大使館
5.現地調査実施期間:2001年3月 14、16日
6.プロジェクトの分野:保健・医療
7.政策目的又は政策の方向性:
 基礎的生活基盤の改善(基礎教育の拡充、保健・医療体制の拡充、安全な水の供給拡大)
8.当該プロジェクトの背景及び目的:
 プロジェクト実施場所ビリム・ノース郡は、1996年の保健省の年間報告書に、ガーナ南部で病院等の社会インフラの面で最も遅れた郡の一つとして挙げられた。右を背景に、ローカルNGOであるガーナ家族計画協会(PPAG)が同郡における家族計画、子どもの栄養改善及び寄生虫予防対策を活動の柱とし、以下の2点を目的とする本プロジェクトを立案した。
(1)プロジェクト対象地域における基礎保健サービスを改善し、特に乳幼児及び妊産婦の死亡率を減少させる。
(2)対象地域の人々の栄養状態を改善すると共に家族計画に関する知識を普及する。
 これに対し、本件は1998年3月~2001年3月までの3年間を対象に開発福祉支援による資金協力を行うこととなった。
9.評価結果:
 3年間の活動を通して、ほぼ目標が達成されたと共に、地域住民による資材及び労働力の提供など、住民参加型のプロジェクトとしても大きな成果を修めた。
 家族計画においては、避妊に関する知識が向上したため、避妊を実行する人の割合は1998年の約20%から2001年の32%になった。栄養改善においては、5歳以下の栄養失調児の割合が1998年の23%から2000年には15.2%まで下がり、 寄生虫予防においても、14歳以下で感染が認められないケースが、1999年の59.6%から2001年の87.9%にまで改善された。
 また、本プロジェクトの実施にあたっては、草の根無償資金協力による車両供与、青年海外協力隊員(助産婦)派遣による伝統的助産婦のトレーニング及び学校での保健教育及び短期専門家の派遣による参加型開発手法の展開など、開発福祉支援スキーム以外の日本の援助スキームを活用・連携させ、これがプロジェクトの成果を高める要因となった。また日本は、引き続き同地域における短期専門家の派遣予定を含め、平成12年度の草の根無償資金協力によるHIV/AIDSの啓蒙活動等の支援を行なっており、更なる成果が期待されている。
10.提言:
 本プロジェクトは2001年3月に終了したが、同地域では住民による活動が継続されている。今後も平成12年度草の根無償資金による事業成果、地域住民のイニシアティブにより開始された収入向上活動及び青年海外協力隊員の継続的な関与などをフォロー・アップすることが重要である。また、同草の根無償に加え、PPAGが実施母体となってモニタリングなどの形で本プロジェクトの持続性を確認する予定であるが、日本もその活動継続のために第2フェーズの支援を考慮すると同時に、郡の行政機関が国家予算配分を十分に受けてプロジェクトに支出できるよう側面的な働きかけを中央及び郡関係当局に対し行うなど、持続性のための道を探るべきであろう。
 また、米国国際開発庁(USAID)、国連人口基金(UNFPA)及び他ドナー・機関との連携も考慮する必要がある。特にUNFPAが「国連人間の安全保障基金」活用による本プロジェクト成果の全国展開を計画しており、日本政府としても同基金の獲得を支援すべきと考える。同時に、本プロジェクトの持続性を高めるためにも本件協力にとどまらず、保健分野におけるセクター・ワイド・アプローチとの整合性を考慮しつつ、ガーナ保健省の5カ年計画(2002年-2006年)及び今後の政策の策定・実施に日本が積極的に参画してくことが不可欠である。
11.外務省(本省)からの一言:
 沖縄感染症対策イニシアティブにおいて提唱した通り、感染症対策にとって予防は不可欠であり、この意味において本件は良く機能しているプロジェクトであると考えています。また我が国の本件支援は、日本人専門家が常駐するガーナ野口研究所による巡回啓蒙活動を通じて一般市民に理解されています。同プロジェクトのようにコミュニティの構成員を含めたコミュニティレベルでの活動は重要であるため、その効果が高いプロジェクトについては、その他の地域への普及活動、政府又は地方政府レベルの計画への反映等を含め検討していきたいと考えています。さらに、青年海外協力隊の本プロジェクトへの継続的な関与が重要となるため、今後も隊員を派遣することにより本プロジェクトをフォローしていくことを検討しています。


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