6. 提言
(1)エチオピアの開発援助環境の変化をふまえた目標・重点分野の見直しが必要である。
エチオピア政府の開発ニーズが変化していることを踏まえて、2010年度に予定されている国別援助計画改定において目標・重点分野の見直しを行うべき(例えば、従来の「食料安全保障の確立」に加えて「持続的な経済成長」を基本目標とする)。
(2)援助インパクトを高めるアプローチを採用することが重要である。
イ.農業・農村開発において、案件相互の相乗効果を高める工夫を行うべき。
ロ.技術協力で確立した「モデル」を普及させるために、資金協力との連携や、政策レベルから草の根レベルに至る支援を組み合わせた取組を推進すべき。
ハ.州全体や郡の開発計画策定、予算管理への技術協力の強化と組み合わせて財政支援への参加を検討すべき。
ニ.案件の効果を高めるためにも草の根・人間の安全保障無償資金協力の経験をいかしてNGOとの連携強化や意見交換を増やすべき。
ホ.個々の案件の外部条件であるリスクを軽減するために、現場で政策レベルへの関与を常時増やすべき。
(3)日本の知見・経験をいかした援助戦略の構築、対外発信の強化が必要である。
政策対話を活用して援助の現場と政策をつなぎ、援助のインパクトを高め、日本らしい存在感を発揮すべき。
(4)援助政策の策定・実施プロセスの改善を図るべきである。
イ.援助政策の策定プロセスの迅速化を図るべき。
ロ.案件の要望提出から採択に至るプロセスが常時可能となるような仕組みをつくるべき。
(5)無償資金協力の制度の改善を図るべきである。
一般無償資金協力において日本の技術力をいかせるような制度改善を検討すべき(例えば、単価設定や予備費の確保)。
(6)国際機関を通じた支援の戦略的活用を図るべきである。
イ.国際機関を活用して日本の現地ベースの実践的な支援のスケールアップを図っていくべき。
ロ.国際機関を活用して、二国間援助では手の届かない地域への支援を行っていくべき(特に、辺境州への支援)。
ハ.インフラ整備や産業開発支援を有効にするため、中長期的にはアフリカ開発銀行や世界銀行との連携を通じた借款の可能性について検討を行うべき。 |