(1) |
援助政策策定の視点:日本のODAは今後減る見込みの方が強い中で、日本としてどのように限られた資源を活用して効果と効率、存在感を高めていくかは最大の課題と言える。1) 援助の意義・目的の明確化、2) 援助対象(分野and/or地域)の選択と集中、3) 連携・協調による相乗効果、という視点からの計画立案が必要である。 |
(2) |
対エチオピア援助の意義・目的:重点分野を含む目的・目標体系図を作成し、計画期間中に達成すべき目標(数値を含む)を、エチオピアの開発目標との整合性を取りながら掲げることが望まれる。 |
(3) |
援助対象(分野・地域):相手国のニーズ、日本の実績と比較優位、他ドナーとのバランスの三つの基準に照らし、援助対象分野の選択と集中を行うことを提案する。エチオピアでは、1)食糧安全保障(農業、水、道路)、2)保健衛生(感染症対策)、3)教育(基礎教育)、でのニーズが高いと思われる。
|
(4) |
分野横断的/新興課題:平和構築や民主化、経済改革(構造調整や民営化)はODA大綱の重点課題であるだけに、政策協議などの場を通して実現を求めていくとともに、事業実施のレベルにおいてもこれらの課題に対応していくことが必要である。 |
(5) |
援助形態:LLDCであることに鑑みて、今後も無償資金協力と技術協力で対応していくのが適切である。また、草の根・人間の安全保障無償を一層活用していくことが望まれる。 |
(6) |
援助手法:1) 重点分野・地域での連携(スキーム間、セクター間、マルチ-バイ間、他ドナー/NGO)の促進、2) 南南協力の強化、3)重点分野(特に道路や保健衛生)における政策スタッフ派遣、コモンファンドへの資金投入の検討、4) 直接財政支援の漸進的実施、5) 援助手続きの調和化(共通の様式・手続き、手続きの合理化等)による簡素化促進が必要である。 |
(7) |
政策協議・対話:1) 重点地域の州の参加を得る、2) 重点地域の州レベルで協議の場を設ける、3) 日本の専門家やNGOの意見をよりよく反映する、4) 日本国内の関係省庁やNGOの意見を聴取・反映させる、5) 現地NGOとの協議/対話の場を設けることを提案する。 |
(8) |
透明性・予測可能性の向上:プロジェクトごとの技術協力額を先方に対して明らかにするなどし、予測可能性を高めることが望まれる。 |
(9) |
無償資金協力の改善:無償資金協力の業者アンタイド化推進が被援助国から求められている。また、住民のオーナーシップと事業の持続性を高めるコスト・シェアリングが活かせるよう、一般無償の仕組みを整えることが望まれる。草の根・人間の安全保障無償は、手続きは簡略なものの規模が小さいため、その解決策として草の根無償でクラスター(同種の複数事業を一案件として束ねる)処理をすることが考えられる。
|
(10) |
援助要員の増員・強化:現地権限の強化・権限委譲の中で、援助の質を確保するには援助要員の増員が欠かせない。また、セクター支援や直接財政支援に対応し、ドナー会合でリーダーシップを発揮していくには、要員の能力向上を図らねばならない。 |