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エリトリア・南西部地域漁業開発計画

1.評価対象プロジェクト・プログラム名
 南西部地域漁業開発計画
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2. 国   名:エリトリア
実施機関名:漁業省
3.援助形態: 無償資金協力(一般プロジェクト無償)
95、96年度 12.38億円
4.評価実施機関名:在エチオピア大使館
5.現地調査実施期間:2001年2月28日~3月9日
6.プロジェクトの分野:水産
7.政策目標又は政策の方向性:
 エリトリアの数少ない基幹産業としての可能性を秘めた漁業振興支援。
8.当該プロジェクトの目的:
 エリトリア国のアッサブを中心とする南東部地域における、沿岸小規模漁業の生産力と流通機能の整備・強化することにより、地域の漁業振興を図る。
 具体的には、漁業生産機材の整備による地域漁民の就業機会の創出と漁獲量の増大、周辺漁村への漁業活動支援による漁業生産の活性化と販売ルートの創出、及び水揚げ量の拡大による地元地域住民への魚類提供の拡大を図る。
9.評価結果:
 プロジェクト実施前の1994年、アッサブ地域の年間水揚げ量は50トン強であったが、このプロジェクトの実施により238トンに増加した。また、周辺漁村であるバラソル地区の水揚げについては、計画では1日0.3トンを予測していたが、1トンの水揚げがあった。予想を上回る水揚げ量の拡大の理由としては、バラソルに保冷施設、及び出荷手段が設けられたことにより、その周辺からもパラソルに漁獲物が持ち込まれるようになったことが挙げられる。
 また、アッサブの漁船隻数も本計画により30隻増加し、新たに150人に対し就業機会を創出した。更に、アッサブ水産コンプレックスの建設により、週6日約45名に対し水揚げした魚の処理関連の就業の機会を提供している。
 さらに、本計画の結果、新たな販売ルートが開拓され、年間水揚げ量238トンの内30トンがこの販売ルートにより、民間企業の手でヨーロッパへ運ばれている(但し、2000年5月のエチオピア軍のアッサブ攻撃により民間企業の買い付けが止まっている)。
 今後更に輸送手段が改善されることにより、販売ルートの更なる拡大が図られ、地域の振興に大きく貢献するものと考えられる。
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 本プロジェクトは我が国の支援及びエリトリア側の努力により計画通りの成果が得られているものと考えられる。
 また、エリトリア政府は漁業振興を重要な計画の一つと考えており、当国の現状から農業及び漁業の振興は当国の食糧自給を達成するのみならず、特に水産資源の開発は、今回の調査からも明らかなように当国の経済発展における重要な基幹産業になる可能性を秘めていることから、このプロジェクトに対しては、今後ともフォローアップ調査を通じ継続的な支援が望まれる。
11.外務省からの一言:
 エチオピア・エリトリア国境紛争が本計画に与える影響については懸念されていたが、紛争後も施設が機能していることは、エリトリアにおける漁業の産業としての可能性とエリトリア側の自助努力の高さを示していると考えられる。我が国としても引き続き本件を注視していきたい。


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