1.評価対象プロジェクト名:ピチンチャ州地下水開発計画
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2.国名:エクアドル共和国
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3.援助形態:一般プロジェクト無償/97~98年度/955百万円
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4.評価実施機関名:在エクアドル日本国大使館
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5.現地調査実施期間:2001年1月11日~12日 |
6.プロジェクトの分野:社会基盤(飲料水)
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7.政策目的又は政策の方向性:
貧困緩和、生活水準の向上を目的とした基礎インフラの整備及び公共サービスの改善
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8.当該プロジェクトの目的:
ピチンチャ州地方村落部において、飲料水など生活用水が不足している住民約27万人を対象に、安全かつ安定した水の供給を可能とするため、深井戸建設による地下水開発を実施し、同地域の給水事情及び公衆衛生の改善を図る。
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9.評価結果:
本プロジェクトの実施後、約4万人への生活用水の供給が実施され、この結果、ピチンチャ州地方村落部の給水率はプロジェクト実施前の30%から45%に改善された(以上ピチンチャ州審議会調べ)。
裨益者からも「水への心配はなくなった」、「病気が少なくなった」などの声が聞かれるようになり、本事業の目的でもある安全かつ安定した水の供給は、確実に現実化していると考える。また、水への不安が取り除かれ精神的に安定したこと、並びに、水汲みに係る婦女子の労働負担が解消され、より生産的活動に振り替え可能となったことは、今後、労働意欲の増進、更には貧困解消に繋がることが期待される。
エクアドルの山岳地域では、ピチンチャ州同様、地方村落部において生活用水不足に悩む地域が多く存在する。本プロジェクト実施の結果、表流水が得にくいエクアドル山岳地域の地方村落部では、地下水開発が有効であり、大きな効果をもたらすと考えられる。
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10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言)
エクアドル山岳地域の地方村落部では、浅井戸、渓流水、雨水等から生活用水を確保しているが、量的にも質的にも問題がある。
このような地域での生活用水の確保には、深井戸掘削による地下水開発が有効と考えられる。
地下水開発による効果は、直接効果として(1)生活用水の量及び質の改善、(2)水因性疾病の減少、(3)水汲みに係る労働力及び労働時間の解消、波及効果として(1)健康改善、(2)栄養改善、(3)水管理組合設立による共同体意識の醸成などが考えられ、長期的に見れば、生活基盤の安定による労働意欲の増進、貧困の解消に寄与することが期待できる。
ただし、この効果は、プロジェクト実施主体の案件管理能力に大きく影響されると考えるため、実施主体においては、井戸掘削というハードの推進とともに、水管理組合への教育というソフトの徹底に努めることが肝要であると考える。
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11.外務省からの一言:
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飲料水の安全供給、伝染病等の羅患率の低下等地域の生活環境の改善に大きな効果が得られた優良案件である。この効果を継続するためにも維持管理体制等ソフト面の強化が必要である。 |
(2) |
この計画に対する協力の成果を踏まえ、平成12年度よりロハ州における地下水開発計画に対する協力を実施している。
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