評価者:中込 昭弘 公認会計士(太田昭和監査法人)
現地調査実施期間:1999年9月27日?30日
(1) | 計画の妥当性(事業が目的を達成するために妥当な論理構成を構築していたか) 世銀分を含めた当該プロジェクトは、ボゴタ市への水道安定供給及び上下水の配管・送配水網の整備を行なう上で優先度の高いプロジェクトである。また、97年に起こったトンネルの落盤事故に対しても、サン・ラファエル貯水池が所期の機能を十分果たしたことから、サン・ラファエル貯水池建設の優先度は結果的にみても高かったといえる。 |
(2) | 目標達成度(当初想定された目標(主にアウトプット)が実現されたか) プロジェクトの実施段階で実施した中間評価のため、現時点で、目標達成度に関する最終的な評価はしなかった。ただし、現在までのところ、貯水池並びにポンプ場の建設についてはほぼ予定通り完工している。 |
(3) | 効率性(得られた成果(=アウトプット(場合によってはインパクトも含む))と、事業実施にかかった費用を比較すると効率的であったと言えるか) プロジェクト・コストについては計画変更等のため当初計画をオーバーしているといえる。ただし、オーバー分については自前で資金の手当を行なっている。また、工期遅延の原因は、当初予定に対し、公園建設の規模を大幅に拡張することにしたため、その設計変更に時間を要したことであり、土地所所有権に関する問題はまだ解決していない。もう少し早い段階からこの問題の発生を把握し、適切な対処ができなかったかという疑問が残る。 |
(4) | インパクト (上位に位置する大目標(=事業の目的)はどの程度実現したと言えるか) 97年にチューサ貯水池からの導水管トンネルにおいて2個所の落盤事故があり、それを修復する間の半年以上、サン・ラファエル貯水池が代替した。完成間もなかったこと及び当時の気象状況によりサン・ラファエル貯水池の水が満タンでなかったため、必要量の7割ほどの原水供給しかできなかったが、もし、この貯水池がなかった場合には、ボゴタ市全体の半分以上の住宅に、この間給水を行い得なかったことになり、この貯水池の建設は、ボゴタ市住民に対する安定的な水供給という点で非常に大きな効果があったといえる。サン・ラファエル貯水池は現在もメインの貯水池の補完として十分機能している。 |
(5) | 自立発展性(我が国ODAの供与が終了したあとも、自ら運営・維持管理していけるか) EAABは過去の第一次から第三次上下水道事業においても、その実施能力の高さは評価されており、また今回のEAABとの協議及び現場視察さらに住民に対するインタビューを行なった結果からもその維持管理能力は問題ないものと思われる。 |