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チリ・資源環境研修センター

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 チリ・資源環境研修センター
2. 国名:チリ共和国
実施機関名:鉱山省地質鉱山局
3.援助形態: プロジェクト方式技術協力(1994~1999年)
専門家派遣人数:延べ10名
研修員受入人数:13名
4.評価実施機関名:在チリ大使館
5.現地調査実施期間:2001年3月1日~2日
6.プロジェクト・プログラムの分野:鉱業
7.政策目的又は政策の方向性:環境、鉱山
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
 チリ国内の鉱山、特に中小鉱山における保安対策、環境対策の促進のため、特に周辺に中小鉱山が多く存在するコピアポ市に、鉱山保安及び環境の分野における研修センターを設立すること。
9.評価結果:
 当初の計画通り、コピアポ市にチリ・資源環境研修センターが建設され、鉱山技術者向けの研修を行っている。研修コースは、鉱山保安分野、鉱害防止分野、化学分析分野の3つに分かれている。鉱山保安分野は、露天掘及び坑内堀鉱山における落石対策、火薬及び発破災害の防止、運搬機材・車両等の災害防止など、鉱害防止分野は、水質保全(水質基準、廃水処理技術、休廃止鉱山における排水処理技術など)、騒音・振動・粉塵公害防止技術、鉱山公害防止行政といった内容となっている。また、化学分析分野は、試料採取法・事前処理、水質分析法、分析値の精度管理であり、原子吸光分析器など各種分析用機材を備えた実験棟を有している。
 センターの研修コースは、援助終了後も一層充実してきており、2000年までに延べ6,800人以上に対し研修を行った。また、移動実験車による現場での研修も行っている。
 本プロジェクトが始まった頃から、チリ国内の鉱山の事故が急速に減少しており、プロジェクト実施期間の5年間で事故頻度率は約1/3となった。
 また、最近は、ボリビア等の近隣諸国からの研修生も増加しており(2000年までに約1,300人)、周辺諸国も含めた鉱山保安対策、環境対策に役立っているものと考えられる。
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 銅産業は、チリ経済を支える基幹産業であるため、今後も研修コースの一層の充実に努めるとともに、将来的に大きな課題となる閉山対策に焦点を当てた研修コースを開発することが必要。
 また、三角協力支援の観点から周辺諸国への協力の核となるポテンシャルがあるため、今後も第3国研修に力を入れるべき。
11.外務省からの一言:
 鉱山の事故頻度率がプロジェクト実施期間前後で1/3になったこと、プロジェクト終了後も自立発展的に研修受講者数を延ばしていることは高く評価出来る。今後大きな課題となる閉山対策に焦点を当てた研修コースの拡充や三角協力については、今後のチリ側及び関係諸国との協議を通じて検討して行きたい。対チリ輸入及び投資の主要分野である銅産業への協力のニーズが依然として大きいこと、また、同分野への協力が我が国の資源安全保障にも寄与するものであることに鑑み、今後は、移転した技術をより有効に活かすため、パートナーシッププログラム(注)の活用を検討していきたい。


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