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チリ・半乾燥地治山緑化計画

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
 半乾燥地治山緑化計画
(クリックすると画像が変わります)
2. 国名:チリ
実施機関名:農業省森林公社(CONAF)
3. 援助形態:
プロジェクト方式技術協力/1992年度~1997年度
長期専門家10人、短期専門家12人、研修受入13人
4.評価実施機関名:在チリ大使館
5.現地調査実施期間:平成13年5月25日
6.プロジェクト・プログラムの分野:社会基盤、自然環境
7.政策目的又は政策の方向性:
 修得された治山緑化技術を利用した治山緑化の実施
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
 地域に適した治山技術、緑化造林技術、育苗技術を開発し、年降雨量200~400mmの半乾燥地帯の自然植生の減少、土壌浸食の進行等により土地生産力が極めて低下した土地の自然環境を回復する。
9.評価結果:
 プロジェクトにより、
(1) 治山工種として開発された山腹工14種、渓間工2種の合計16種の治山工種を開発、普及のための標準図の作成、
(2) 成長量、生存率のデータを基に開発された適切な樹種、植栽方法、被覆材料、潅水手法、野兎防除方法等の半乾燥地に適した緑化造成技術の開発、
(3) 作業システム並びに育苗技術の改善により計画的、効率的な育苗技術を確立し、年間約189千本の苗木の都市緑化事業及び治山・造林事業への供給が行われた。
 以上のプロジェクトの実績は、土壌保全を目的とした林業振興法の改正に反映され、プロジェクト終了後も、プロジェクトにより開発・改善された技術を基に、森林公社による崩壊地の事前防止、保護及び土壌の回復を目的とした、土地生産力の回復のための造林が実践されている。
 また、プロジェクトにより整備されたモデル林は現在順調に育成しており、設置された観測機器による表面流出観測データからも計画どおり雨水の直接流出の抑制効果が現れている。(モデル流域直接流出率は1995年 27%から1999年 16%に減少。(表参照)
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 荒廃地復旧及び土壌保全のために本プロジェクトで開発・改良された治山、緑化造林技術を他の地域に適用するには、その効果について長期に渡りモニタリング、評価する必要がある。しかし、データ解析・評価技術の移転が不十分であり、今後もこの分野への支援が必要であるほか、農牧開発研究所や大学等との連携も検討する必要がある。また、実際に治山、造林を展開していくためには、そのための人材が必要であり、森林公社職員等を対象とした研修プログラムの整備も検討すべきである。
11.外務省からの一言:
 プロジェクトの成果が、林業振興法の改正に反映されたことは評価したい。プロジェクト期間中に十分な技術移転が出来なかった分野については、チリ国内研究機関等の連携を図るなど、チリ側の努力による克服を期待したい。半乾燥地治山緑化を実際に展開していくための研修プログラム実施については、今後のチリ側との協議を通じて検討していきたい。


<表>  治山、緑化造林の効果に関するデータ
  ○モデル地区の年総降水量における流出率
  1995年 1999年
年降水量(1) 467.9mm 500.5mm
直接流出量(2) 126.8mm 80.3mm
基底流出量 19.1mm 13.9mm
全流出量 145.9mm 94.3mm
損失量 322.0mm 363.5mm
直接流出量(2)/(1) 27% 16%
 出典:CONAF資料、アルトロイカ第2小流域における水支出


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