(2000年3月、在カンボジア大使館)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
無償資金協力 |
協力年度 |
95年度(E/N署名年度) |
協力金額 |
17.61億円 |
相手国実施機関 |
保健省 |
協力の内容 |
カンボジアにおける母子保健向上のための中核施設となる母子保健センターの建設(プロジェクト方式技術協力との連携) |
<評価要旨>
1.目標達成度
プロ技開始後5年を経た現在、我が国無償資金協力で建設された母子保健センターにおいて、カウンターパートの技術能力が向上し、患者数、出産数が増加し、カンボジアの母子保健サービスの向上に貢献している。プロ技に関しては、治安状況が不安定な時期があったこともあり、専門家派遣、現地での研修が当初の予定通り行われなかった部分もあるが、今後とも同センターを中核にして、プロ技フェーズ2の実施により、カウンターパートの更なる技術向上、地方への普及強化を図ることが期待される。
2.効率性
各成果の達成度、投入手段、方法、期間、費用等を総合的に勘案すれば、概ね満足できると思料する。
3.インパクト
同センターを母子保健計画の中核機関であるとカンボジア国民が認知した結果、同センターの出産数、外来・入院患者数、母親学校などへの参加者数が飛躍的に増加した。
地方で勤務する助産婦の研修、指導を行うことにより、地方病院の助産婦の能力が向上しつつある。
同センターで導入された診療費徴収制度は、他病院におけるモデルケースとなりつつある。
4.計画の妥当性
カンボジアの母子保健状況・サービスの改善による妊産婦死亡率及び乳幼児死亡率の低下は同国の重要課題の一つであり、本プロジェクトは右課題に裨益するものである。
5.自立発展性
プロジェクト開始時に比し、国内外の研修等を通じて運営管理状況は改善されてきているが、右強化のため、研修を継続する等してカウンターパートの自立に向けた意識を更に向上させていくことが重要である。
カンボジア政府の財政難のため、センター診療費収入を増大させる等、更なるカンボジア側の自助努力が重要である。
最終目標と言えるカンボジアにおける母子保健状況の改善のために、今後更に同センターを強化し、カンボジアにおける母子保健医療従事者の人材不足を解消していくことが重要であろう。
6.環境及びWID(開発における女性)への配慮・影響
同センターに下水処理施設、焼却炉を建設、カンボジアの不十分な環境対策を補っている。
母子保健センターはWID案件そのものである。
7.今後必要なフォローアップ
今後施設・機材が老朽化していくところ、カンボジア側に施設・機材の維持管理の重要性を認識させていくことが重要である。
プロ技については第2フェーズが行われる予定であるが、カウンターパートの更なる能力向上、地方母子保健医療従事者への技術普及が期待される。
8.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
カンボジア政府の予算状況は限られているところ、カンボジア政府への予算負担を求めつつも、プロジェクト自身で経費を充当することや、短期的には日本側予算で手当する可能性についても検討すべきであろう。