1.評価対象プロジェクト名:
(1)シハヌーク病院エイズ病棟拡張計画
(2)キエンツバイ郡病院肺結核病棟建設計画
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(クリックすると画像が変わります)
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2.国名:カンボジア |
3. 援助形態:
(1)草の根無償資金協力、98年、65千米ドル、
(2)草の根無償資金協力、98年、30千米ドル |
4.評価者:
佐藤喜一 黒部温泉病院院長
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5.現地調査実施期間:2000年10月23~26日
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6.プロジェクトの分野:保健・医療(感染症) |
7.プロジェクトの目的:
(1)老朽化により放置されていた感染症病棟の一階を改修し、ベット数を29床から60床に拡張する。
(2)結核病棟(排水設備、トイレ、ベットを含む)を一棟建設する。
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8.評価結果:
(1) |
シハヌーク病院エイズ病棟拡張計画
カンボジアで急増しているエイズ患者(注:97年時点においてHIV感染者の数は、約9万~12万人。人口の約1%に相当。)を看護するセンターとしてシハヌーク病院がプノンペン市にある。その老朽化した感染症病棟の一階部分を改修し、ベットを31床増やし、60床に拡張するもの。援助は既に完了し、入院ベットは末期のエイズ患者で満床であり、エイズ看護に役立っている。国境無き医師団とカンボジア人医師により医療が施されている。看護と介護はカンボジア人の看護婦が行っている。また、外国のNGOメンバーの活躍が目立っていた。各病室には、酸素吸入のための酸素ボンベを収納するための保持台が設置するなどの工夫が見られた。エイズ患者の多くが結核も併発しており、その対応が重要となっている。
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(2) |
キエンツバイ郡病院結核病棟建設計画
プノンペン市から東へのびる国道一号線を車で約一時間の場所にキエンツバイ郡病棟が位置しており、この地域の総合病院として機能している。一般病棟から道路を挟んで反対側にL字型で平屋造りの結核病棟が建設された。この病棟は大きく4部屋に分かれ、検査室、薬品保管室と男女別の病室として使用されていた(ベット数は30床であり、調査時点では男女計14名が入院)。検査室には日本の援助による顕微鏡1台が設置され、1日あたり平均6件の喀痰の検査が行われている。治療薬や染色薬など結核の診断治療に必要な基本的な薬は保健省より支給されている。 |
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9.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点等):
(1) |
シハヌーク病院エイズ病棟拡張計画
投入金額(約700万円)によってどこがどのように改修されたのかを判断することが難しい。特に既存の病院等の建物の改修を行う場合には、事後的な確認を行うだけでなく、改修作業中に実施状況のきめ細かいモニタリングを行うことも必要ではないか。また、草の根無償の案件については、一般的に大使館の業務も多忙であり、モニタリングやフォローアップのために要員と費用を確保することが必要である。 |
(2) |
キエンツバイ郡病院結核病棟建設計画
結核病棟が建設されたことにより、結核患者を一般病棟から隔離できるようになったことで、結核予防に一定の効果があった。しかし、同病棟は、開放病棟であり、患者は外出が容易である。一層の予防の観点からは、結核患者への対応と検査技術の向上のために技術指導する必要がある。 |
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10.外務省からの一言:
草の根無償プロジェクトの適正な管理については、案件の数も増えているが大使館自身によるフォローアップに加え、外部調査委託制度を利用して建物状況のフォローアップ調査を行う等現地大使館も積極的に取り組んでいる。
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