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ブルガリア・ソフィア市浄水施設建設計画

1.評価対象プロジェクト名:ソフィア市浄水施設建設計画

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2.国名:ブルガリア共和国
  実施機関名:ソフィア市建設企画局、上水道公社
3.援助形態: 無償資金協力、98年度、11.17億円
4.評価実施機関名: 在ブルガリア日本国大使館
5.現地調査実施期間:2001年3月29日~2001年4月13日
6.プロジェクトの分野:環境、社会基盤
7.政策目的又は政策の方向性:環境の保全
8.当該プロジェクトの目的:
 ソフィア市の人口増加及びそれに伴う飲料水不足を背景に、建設後約30年を経て老朽化が著しいパンチャレボ浄水場(給水能力約39万トン/日)を改修するために、1985年から建設が開始されたビストリッツァ浄水場(同約58万トン/日)を稼働させるに当たり、EU加盟を念頭に策定されたブルガリアの環境保護法に照らし必要不可欠な排水処理施設を同浄水場に付設することを目的とする。
9.評価結果:
 当初の計画通り、日本の支援により排水処理施設が建設され、ビストリッツァ浄水場が稼働している。
 浄水場が丘陵地に位置しており、強風による短時間の停電が頻繁に発生するため、脱水設備の電気系統が影響を受けているとのことであったが、直後に実施された瑕疵検査時の指導により問題は解決された。
 本件協力は、浄水場全体の排水処理施設の一部分を日本の支援により建設したものであり、排水の沈殿池等ブルガリア側が建設した施設と連携されている。ブルガリア側が建設した沈殿池のコンクリートは冬期の低温の影響もあって剥離、ひび割れ等が生じており、剥離物が詰まることにより全体の水の流れが滞ることもあり、施設全体の稼働率は8割程度である。
 施設の運営は、市が英、米、仏と協力して設立した合弁会社が担当しているが、排水処理施設の管理・維持の扱いが市と合弁会社との間で曖昧であったところ、大使館からの申し出により、維持費を合弁会社が負担することになり、右会社の責任が明らかとなった。
 なお、ブルガリア側による各家庭への配水管の維持管理が不十分であり、一部家庭において錆混じりの水が供給されるという問題が生じている。
10.提言:
 排水処理施設により、ビストリッツァ浄水場はEUの環境基準の枠内で運営されており、中国等他国の視察団の注目を集めている。他方、本件協力は、ブルガリアの建設した浄水場の一部を日本が担当したこともあり、ブルガリアの担当した工事の影響(コンクリートの劣化等)を直接に受けるため、日本が建設した施設に問題はなくとも、施設全体としては当初の目標を達成できない面も生じている。今後このような形態で援助を実施する場合、相手国側の担当する工事の質等を充分に評価し、連携が円滑に行われるかどうかを事前に評価する必要がある。
11.外務省(本省)からの一言:
 従来より、援助国政府の工事と連携のある計画については、相手国側工事の実施の見通しについて評価を行っているところであり、今後の計画についてもその徹底を図っていきたいと考えています。本件については、日本からの援助が無ければ浄水場の稼働自体行えなかったという背景があり、計画の実施は妥当であったと考えています。今後、必要に応じて稼働率の向上に努めるよう相手国実施機関に申し入れていきたいと考えています。また、配水管の維持管理の問題は、現在ソフィア市が準備中の水道管の支援により改善されるものと考えています。なお、「水」については、2003年に「世界水フォーラム」が開催されることも踏まえ、更に重点的に取り組んでいくことにしている課題の一つです。この案件のように、他の機関と連携するものについては、協調して円滑に進めるように努めます。


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