1.評価対象プロジェクト名:生産性・品質向上プロジェクト |
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2.国名:ブラジル連邦共和国 実施機関名:ブラジル品質・生産性機構パラナ(IBQP-PR) |
3.援助形態: |
プロジェクト方式:技術協力 |
| 1995年4月20日R/D署名 “ 6月より5年間(2000年5月迄) |
| 協力金額:約9億1000万円 |
| 専門家派遣の人員:長期12人、短期19人 |
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5.現地調査実施期間:2001年3月11日~3月16日 |
6.プロジェクトの分野: 産業開発・人材育成 |
7.政策目的又は政策の方向性: 上位目標は、ブラジル企業において、生産性向上活動を普及浸透させること |
8.当該プロジェクトの目的:
ブラジル品質生産性センター(IBQP)においてカウンターパート(C/P)が生産性技法を体得する。 |
9.評価結果:
ブラジルの国家政策である「ブラジル品質生産性プログラム(PBQP)」を実現するためにブラジル品質生産性センター(IBQP-PR)のような生産性機関の設立および強化、生産性の概念・技術の普及、企業支援、産業界の人材育成が急務であった。従って、本件プロジェクトの実施は、センター所長やカウンターパートの人事異動が激しく、技術の効率的移転・蓄積に困難が生じたものの、国家政策に沿った妥当なものであったといえる。
プロジェクトの実施形態、理論/座学中心の技術移転をより実践的なOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)にシフトさせたことは、シフトが遅かったとはいえ、IBQP-PRの技術力を高めるうえで効果的であった。 |
10.提言:
生産性向上支援における人づくりは、実践的OJTが効果的である。この場合のモデルの選択は、大企業、中小企業および零細企業、様々な業種の製造業、サービス業、商業などを対象にすることが望ましい。具体的には、実施機関とモデルの間に契約を行ない、日本側専門家およびカウンターパートが一定の費用と期間で支援活動を実施し、同時に生産性測定結果を評価分析し、更に支援方法、内容を修正し支援の継続を行う。結果として、モデル企業に生産性向上力が根付く、カウンターパートの理論・実践力強化、実施機関の独立採算性の向上などの利点が実現できる。また、ブラジルのような技術レベルが比較的高い中進国では、本件のような工業分野の技術移転は効果が高いが、カウンターパートの頻繁な人事異動のために技術が効率的に移転、蓄積されない場合もあり、受け入れ機関の見極めに注意を払う必要がある。 |
11.外務省(本省)からの一言:
ブラジル政府は1990年にブラジル品質・生産性向上プロジェクトを開始し、その分野で実質的な活動を行う機関を設立させるための技術協力を我が国に要請してきました。そこで我が国は、1995年にパラナ州クリチバに品質・生産性機構が設立されたのを確認したうえで、新たな組織作りのための協力を開始したものです。従って本プロジェクトは、ブラジルにとって新しい分野での人づくり事業であったため、協力開始当初は所長を含むカウンターパートの定着が悪く、技術移転を進める上で問題を抱えていました。しかし、協力期間半ばにはカウンターパートも定着し、技術移転が円滑に進められた結果、今やこれらカウンターパートが講師を務め、周辺諸国から参加者を募って開催する第三国研修まで実施できる機関に成長しました。このように、いわゆる「ソフト型技術協力」としての苦労はありましたが、協力期間中に生じた問題を適切に克服し、成果を挙げた例であると考えています。 |